学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §10 感覚器系 / QJ31A078

理由で解く 柔道整復師

QJ31A078 解剖学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問78
問題
眼球に付着しないのはどれか。
選択肢
1 上斜筋
2 下直筋
3 外側直筋
4 上眼瞼挙筋
解答
正解4(上眼瞼挙筋)
解説

眼球を動かす外眼筋6つはいずれも強膜に付着するが、上眼瞼挙筋は上眼瞼の瞼板に停止するため眼球には付着しない。

眼窩の中で眼球を動かすのは、上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋の4直筋と、上斜筋・下斜筋の2斜筋である。4直筋は視神経管の周囲を囲む総腱輪から、上斜筋も総腱輪(厳密にはその内上方の蝶形骨体)から起こり、下斜筋だけは眼窩の下内側壁から起こって、いずれも眼球の強膜に付く。これに対し上眼瞼挙筋は総腱輪からではなく、その上方にある蝶形骨小翼の下面から起こり、上直筋の上を前方へ進んでそのまま上眼瞼の中へ入り、瞼板と皮膚に停止する。起始も停止も外眼筋とは別系統であり、働きはまぶたを持ち上げること、つまり眼球運動には関わらない。動眼神経麻痺で眼瞼下垂が現れるのはこの筋が動眼神経支配だからであり、深部にある平滑筋部(上瞼板筋・ミュラー筋)は交感神経支配のため、ホルネル症候群では軽度の眼瞼下垂となる。

✓ 4. 正しい(=眼球に付着しない)
上眼瞼挙筋
総腱輪ではなく、その上方にある蝶形骨小翼の下面から起こり、上直筋の上を前走して上眼瞼に入り、瞼板の前面と眼瞼の皮膚に停止する。眼球には一切付かず、開瞼を担う筋であるため、これが設問の答えになる。
✗ 1. 該当しない(=眼球に付着する)
上斜筋
総腱輪(厳密にはその内上方の蝶形骨体)から眼窩の上内側を前走し、前上内側にある滑車で折り返して後外方へ向きを変え、眼球後上外側の強膜に付く。滑車神経支配で、単独作用は下転・内方回旋・外転、すなわち眼球を下外方へ向ける。なお下転作用は眼球が内転した位置で最も強く出るため、眼球運動の検査では内下方を見させて上斜筋を調べる(筋の作用そのものは下外方、検査肢位は内下方と分けて覚える)。付着するので答えではない。
✗ 2. 該当しない(=眼球に付着する)
下直筋
総腱輪から前方へ走り、眼球下面の強膜(角膜縁の後方)に付着する。動眼神経支配で下転を担う。付着するので答えではない。
✗ 3. 該当しない(=眼球に付着する)
外側直筋
総腱輪から眼窩外側壁に沿って前走し、眼球外側面の強膜に付着する。外転神経支配で外転を担い、麻痺すると内斜視となる。付着するので答えではない。
ポイント
  • 外眼筋は6つ(上直筋・下直筋・内側直筋・外側直筋・上斜筋・下斜筋)。すべて強膜に付着する。
  • 神経支配は「外側直筋は外転神経、上斜筋は滑車神経、残り4つは動眼神経」。
  • 上眼瞼挙筋の起始は総腱輪ではなく蝶形骨小翼の下面。停止も眼球ではなく上眼瞼の瞼板・皮膚で、開瞼を担う(動眼神経支配)。
  • 上眼瞼挙筋の深部にある上瞼板筋(ミュラー筋)は平滑筋で交感神経支配。ホルネル症候群で軽度の眼瞼下垂を生じる。
  • 4直筋と上斜筋は総腱輪から(上斜筋は厳密には総腱輪の内上方の蝶形骨体から)、下斜筋だけは眼窩下内側壁から起こる。
  • 斜筋の作用は対で覚える:上斜筋=下外方(下転・内方回旋・外転)、下斜筋=上外方(上転・外方回旋・外転)。どちらも外転作用をもつ。
  • 臨床の眼球運動検査では、上斜筋は内下方、下斜筋は内上方を見させる。これは各筋の上下転作用が内転位で最大になるためで、筋の作用そのものとは区別する。
比較表
起始停止神経主な作用
上直筋総腱輪眼球上面の強膜動眼神経上転
下直筋総腱輪眼球下面の強膜動眼神経下転
内側直筋総腱輪眼球内側の強膜動眼神経内転
外側直筋総腱輪眼球外側の強膜外転神経外転
上斜筋総腱輪(厳密には内上方の蝶形骨体)眼球後上外側の強膜(滑車を経由)滑車神経下外方(下転・内方回旋・外転)※検査肢位は内下方
下斜筋眼窩下内側壁眼球後下外側の強膜動眼神経上外方(上転・外方回旋・外転)※検査肢位は内上方
上眼瞼挙筋蝶形骨小翼の下面(総腱輪ではない)上眼瞼の瞼板・皮膚動眼神経開瞼(眼球には付着しない)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。