学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §33 足関節外側靱帯損傷の固定 / QJ31A034

理由で解く 柔道整復師

QJ31A034 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問34
問題
右足関節外側靱帯損傷の固定で正しいのはどれか。
選択肢
1 包帯は順巻きで行う。
2 足関節 30度底屈位にする。
3 合成樹脂製キャストは近位側から巻く。
4 フィギュアエイトは内側から外側に貼付する。
解答
正解1(包帯は順巻きで行う。)
解説

包帯は特別な理由がない限り順巻きで巻くのが原則です。したがって正しい記述は1になります。

足関節外側靱帯損傷の固定は、包帯法の一般原則に「損傷した靱帯が緩む肢位を保つ」という視点を重ねて組み立てます。前距腓靱帯は底屈と内がえしで緊張するため、固定肢位は底屈位ではなく0度(直角)から軽度背屈、足部は軽度外がえしを選びます。巻く方向は末梢から中枢へが原則で、これは静脈還流を妨げてうっ血を招かないためです。テーピングも同じ発想で、内がえしを制動して足部が外がえし位に保たれるように力がかかる方法を選びます。ここで大切なのは、テープの作用方向は「貼り始めが内側か外側か」ではなく経路で決まるということです。フィギュアエイト(8字)もあぶみ(スターアップ)も、足底を内側から外側へ通り、外側で引き上げるという点は共通で、これが足部の外側縁を持ち上げて外がえし位を保つ力の正体です。違うのは貼り始めで、あぶみは内果側(下腿内側)から起こすのに対し、フィギュアエイトは足背を外側から内側へ斜走させてから足底に入ります。巻き終えたら足趾の色調・温度・感覚・腫脹を確認し、締めすぎていれば巻き直します。

✓ 1. 正しい
包帯は順巻きで行う。
順巻きが包帯法の基本です。巻軸を体表に沿って転がすように扱えるので張力を均一にかけやすく、包帯が浮いたりよじれたりしにくくなります。逆巻きは特別な目的がある場合に限って用います。
✗ 2. 誤り
足関節 30度底屈位にする。
底屈位は前距腓靱帯を緊張させ、損傷部を離開させてしまいます。外側靱帯損傷では0度から軽度背屈・軽度外がえし位で固定します。30度底屈位はアキレス腱断裂の固定肢位で、混同しやすいので「緩めたい組織はどれか」で覚え分けてください。
✗ 3. 誤り
合成樹脂製キャストは近位側から巻く。
巻く方向は末梢(遠位)から中枢(近位)へが原則です。近位から巻くと遠位側の静脈還流が妨げられ、腫脹や循環障害を招きます。合成樹脂製キャストは硬化が速く発熱もあるので、しわを作らないよう手早く均等に巻き、硬化後に足趾の色調・温度・感覚を確認します。
✗ 4. 誤り
フィギュアエイトは内側から外側に貼付する。
経路をたどれば理由がわかります。フィギュアエイト(8字)は、足背では外側から起こして内側へ斜走し、足底(土踏まず)を内側から外側へ通って、外側で強く引き上げてから足関節を回って8の字を閉じます。外側で引き上げる力が足部の外側縁を持ち上げるので、内がえしが制動され外がえし位が保たれます。選択肢は「内側から外側に貼付する」と起点を逆に述べているため誤りです。
ここでよく混乱するのがあぶみ(スターアップ)との関係です。あぶみは内果側(下腿内側)から起こし、足底・踵の下を通って外果側へ引き上げるので、確かに「内から外」です。しかし両者は貼り始めが違うだけで、足底を内側から外側へ通って外側で引き上げるという肝心の部分は共通しており、どちらも外がえしを保持します。つまり本肢は「貼り始めの向きの語」だけで正誤を判断させる出題であり、本質は経路の理解です。向きの語呂ではなく「内がえしを制動して外がえし位に保つ」という目的と、それを果たす経路をセットで覚えてください。
ポイント
  • 包帯は順巻きが原則。末梢から中枢へ巻き上げ、静脈還流を妨げない。
  • 足関節外側靱帯損傷の固定肢位は0度〜軽度背屈・軽度外がえし位。底屈位にはしない。
  • 30度底屈位はアキレス腱断裂の固定肢位。「どの組織を緩めたいか」で覚え分ける。
  • 合成樹脂製キャストも遠位から近位へ。硬化が速いので手早く、しわを作らず均等に巻く。
  • テーピングの目的は内がえしの制動=外がえし位の保持。作用方向は貼り始めの内外側ではなく経路で決まる。
  • フィギュアエイトもあぶみも「足底を内側から外側へ通り、外側で引き上げる」点は共通。これが外がえしを保つ力になる。
  • 違いは貼り始めだけ。あぶみは内果側から起こす。フィギュアエイトは足背を外側から内側へ斜走させてから足底に入るので、「内側から外側に貼付する」は起点が逆。
  • 固定後は足趾の色調・温度・感覚・腫脹を必ず確認し、締めすぎや緩みがあれば巻き直す。
比較表
項目正しい扱い理由
巻き方順巻き張力を均一にかけやすく、浮きやよじれが出にくい
巻く方向末梢から中枢へ静脈還流を妨げず、うっ血・循環障害を避ける
固定肢位0度〜軽度背屈・軽度外がえし位前距腓靱帯を緩める(底屈・内がえしで緊張するため)
テーピングの目的内がえしを制動し外がえし位を保持する損傷した外側靱帯への伸張ストレスを避ける
フィギュアエイト(8字)の経路足背は外側→内側へ斜走 → 足底は内側→外側 → 外側で引き上げて足関節を回る外側で持ち上げるので内がえしを制動=外がえし位を保持。選択肢4は起点が逆
あぶみ(スターアップ)の経路内果側 → 足底・踵の下(内側→外側) → 外果側へ引き上げる同じく外側で持ち上げて外がえしを保持。8字との違いは貼り始めだけで、足底の通り方は共通
固定後の確認足趾の色調・温度・感覚・腫脹循環障害・神経障害を早期に見つける
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