学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §23 肩腱板損傷の診察 / QJ31A024

理由で解く 柔道整復師

QJ31A024 必修問題

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問24
問題
肩腱板損傷で最も多いのはどれか。
選択肢
1 棘上筋腱
2 棘下筋腱
3 肩甲下筋腱
4 小円筋腱
解答
正解1(棘上筋腱)
解説

腱板損傷でもっとも高頻度に傷むのは棘上筋腱です。解剖学的な位置と血行の乏しさという2つの理由が重なっています。

棘上筋腱は肩峰と烏口肩峰靱帯がつくる烏口肩峰アーチと上腕骨頭との狭い間隙を通り、大結節上面に停止します。肩を挙上するたびにこの部分が擦れ、加齢や繰り返し動作でインピンジメントが起こります。さらに大結節付着部の手前1cm前後は血行が乏しい領域(critical zone)とされ、微小損傷が修復されにくいまま蓄積します。この2つが重なる結果、腱板断裂の大多数が棘上筋腱付着部から始まり、進行すると棘下筋腱へ広がっていきます。

✓ 1. 正しい
棘上筋腱
烏口肩峰アーチ直下を走行し、血行の乏しい領域を含むため、腱板損傷でもっとも頻度が高い部位です。夜間痛、有痛弧徴候、外転初期の筋力低下が典型的な所見となります。
✗ 2. 誤り
棘下筋腱
棘上筋腱に次いで損傷されますが、多くは棘上筋腱の断裂が後方へ拡大した結果です。単独損傷として最多にはなりません。
✗ 3. 誤り
肩甲下筋腱
小結節に停止する前方の腱で、外傷性の肩関節前方脱臼などに伴うことはありますが、頻度は棘上筋腱に及びません。
✗ 4. 誤り
小円筋腱
腱板4筋のなかでもっとも損傷されにくい腱です。大結節下面に停止し、アーチ下の摩擦を受けにくい位置にあります。
ポイント
  • 腱板損傷の最多部位は棘上筋腱。烏口肩峰アーチ下での摩擦(インピンジメント)が主因。
  • 大結節付着部近傍は血行に乏しい領域(critical zone)で、修復が進みにくい。
  • 頻度の順はおおむね 棘上筋腱 > 棘下筋腱 > 肩甲下筋腱 > 小円筋腱。
  • 棘上筋腱損傷では夜間痛・有痛弧徴候・外転初期の筋力低下(ドロップアームなど)をみる。
  • 可動域と筋力の評価を行い、断裂が疑われる場合は画像評価のため医師へ紹介する。
比較表
停止主な作用支配神経損傷頻度
棘上筋大結節上面外転(初期)肩甲上神経最多
棘下筋大結節中面外旋肩甲上神経2番目
小円筋大結節下面外旋腋窩神経まれ
肩甲下筋小結節内旋肩甲下神経少ない
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