学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ30P088

理由で解く 柔道整復師

QJ30P088 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問88
問題
第5中足骨基部裂離骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 骨癒合は不良である。
2 リスフラン関節捻挫との鑑別を要する。
3 下駄骨折と呼ばれる。
4 短腓骨筋の急激な収縮で発生する。
解答
正解1(骨癒合は不良である。)
解説

第5中足骨基部裂離骨折は、短腓骨筋腱に引き抜かれて起こる裂離骨折です。基部は血流の豊富な海綿骨なので骨癒合は良好で、誤っているのは1です。

足部が急激に内返し(内転・回外)を強制されると、第5中足骨粗面に停止する短腓骨筋腱が張り、その付着部ごと骨片を引きはがします。下駄の鼻緒に足をとられてひねる受傷が典型であることから「下駄骨折」と呼ばれます。基部は海綿骨に富み血行が良いため、多くは3〜4週の固定で問題なく癒合します。ここで必ずセットで覚えたいのが、同じ第5中足骨でも近位骨幹部に生じるJones(ジョーンズ)骨折です。こちらは血行の乏しい移行部に起こるため遷延癒合・偽関節をきたしやすく、予後がまったく異なります。「第5中足骨=癒合しにくい」と丸暗記すると本問で失点するので、部位が違えば血行が違い、血行が違えば予後が違うという筋道で整理してください。

✓ 1. これが誤り(=正答)
骨癒合は不良である。
基部(粗面部)は海綿骨で血行が豊富なため、骨癒合はむしろ良好です。骨癒合不良・偽関節が問題になるのは、同じ第5中足骨でも血行に乏しい近位骨幹部に生じるJones骨折のほうです。
✗ 2. 正しい記述(=答えではない)
リスフラン関節捻挫との鑑別を要する。
第5中足骨基部はリスフラン関節(足根中足関節)を構成する部位そのもので、圧痛点がごく近接します。内返し受傷後の足部外側縁の痛みでは、骨性の限局性圧痛・軋轢音の有無を確認し、必要に応じてエックス線撮影のため医師へ紹介します。
✗ 3. 正しい記述(=答えではない)
下駄骨折と呼ばれる。
下駄履きで足を内返しに捻って受傷した例が多かったことに由来する俗称です。現在も足関節内反捻挫と同じ受傷機転で発生するため、捻挫と思われた症例に紛れ込みます。
✗ 4. 正しい記述(=答えではない)
短腓骨筋の急激な収縮で発生する。
第5中足骨粗面に停止する短腓骨筋腱が、内返し強制に抗して急激に緊張することで付着部を裂離させます。牽引力による裂離骨折なので、骨片は近位・背側へ引かれる傾向があります。
ポイント
  • 受傷機転は足部の内返し強制。第5中足骨粗面に停止する短腓骨筋腱の牽引による裂離骨折。
  • 俗称は下駄骨折。基部は海綿骨で血行良好、3〜4週の固定で骨癒合は良好。
  • 近位骨幹部のJones骨折は血行不良域で、遷延癒合・偽関節をきたしやすい。両者の対比が頻出。
  • 足関節外側靱帯損傷(内反捻挫)やリスフラン関節損傷と受傷機転・圧痛点が重なるため、限局性圧痛の位置を丁寧に確認する。
  • 骨片転位が大きい例や関節面に及ぶ例は観血的処置の対象となるため、医師の診察につなぐ。
比較表
項目第5中足骨基部裂離骨折(下駄骨折)Jones骨折
部位基部・粗面(短腓骨筋腱付着部)近位骨幹部(第4-5中足骨間靱帯付着部より遠位)
発生機転内返し強制による短腓骨筋腱の牽引(裂離)足部外側への繰り返す荷重ストレス(疲労骨折の性格)
血行海綿骨に富み良好血行の乏しい移行部
骨癒合良好遷延癒合・偽関節・再骨折が多い
対応保存療法(3〜4週の固定)が中心手術(髄内スクリュー固定など)が選択されやすい
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