学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ30P087

理由で解く 柔道整復師

QJ30P087 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問87
問題
後脛骨筋によって裂離骨折を起こすのはどれか。
選択肢
1 距骨
2 内側楔状骨
3 立方骨
4 舟状骨
解答
正解4(舟状骨)
解説

後脛骨筋の主な停止部は舟状骨粗面です。その牽引で裂離骨折を起こすのは舟状骨なので、4が正しい選択肢になります。

後脛骨筋は下腿後面の深層から起こり、内果の後方を回って足底側へ入り、舟状骨粗面に強く停止したうえで、腱を分岐して内側・中間・外側楔状骨、立方骨、第2〜4中足骨底にも付きます。作用は足関節の底屈と足部の内がえしで、内側縦アーチを吊り上げる支持機構としても働きます。着地時に急激な回内(外がえし)が強制されたり後脛骨筋が急に収縮したりすると、主停止部である舟状骨粗面が引き剥がされて裂離骨折を生じます。この部位には外脛骨(副舟状骨)が存在することがあり、有痛性外脛骨との鑑別が問題になるため、両側の単純X線比較や以前から同部の痛みがあったかの聴取が手がかりになります。

✓ 4. 後脛骨筋の牽引で裂離する(=答え)
舟状骨
後脛骨筋の主停止部である舟状骨粗面が牽引され、裂離骨折を起こします。内側縦アーチの支持に関わる部位なので、疼痛と扁平化の有無を評価し、アーチを支持する固定・装具を検討します。
✗ 1. 該当しない(=答えではない)
距骨
距骨には筋腱の付着がなく、後脛骨筋に引かれることはありません。距骨自体は臨床上重要な骨ですが、その損傷は軸圧や強制背屈、周囲靱帯の牽引によって生じます。
✗ 2. 該当しない(=答えではない)
内側楔状骨
後脛骨筋腱の分枝は付着しますが、主停止は舟状骨粗面であり、牽引力が集中するのもそちらです。裂離骨折の好発部位としては挙がりません。
✗ 3. 該当しない(=答えではない)
立方骨
ここにも分枝が付きますが、立方骨の骨折は主に外力による圧迫(踵骨と中足骨の間で挟まれる、いわゆるくるみ割り骨折)で生じ、後脛骨筋の牽引によるものではありません。
ポイント
  • 後脛骨筋の主停止部は舟状骨粗面。分枝は楔状骨・立方骨・第2〜4中足骨底に付く
  • 作用は足関節の底屈と足部の内がえし。内側縦アーチの動的支持を担う
  • 急激な回内(外がえし)強制や後脛骨筋の急収縮で舟状骨粗面の裂離骨折が生じる
  • 同部には外脛骨(副舟状骨)が存在することがあり、有痛性外脛骨との鑑別が必要
  • 距骨には筋腱の付着がなく、牽引による裂離骨折は起こらない
比較表
部位牽引する筋・靱帯損傷の型
舟状骨粗面後脛骨筋裂離骨折(外脛骨との鑑別が必要)
第5中足骨基部短腓骨筋裂離骨折(下駄骨折)
踵骨隆起下腿三頭筋(アキレス腱)裂離骨折、成長期は骨端症
立方骨—(圧迫外力)圧迫骨折(くるみ割り骨折)
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