学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ30P084

理由で解く 柔道整復師

QJ30P084 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問84
問題
大腿骨骨幹部骨折固定除去後の後療法で注意するのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 回旋変形
2 関節強直
3 骨化性筋炎
4 挫滅症候群
解答
正解1(回旋変形)、3(骨化性筋炎)
解説

2つ選ぶ問題です。大腿骨骨幹部骨折の固定除去後に持ち越して問題となるのは、回旋変形の遺残と骨化性筋炎で、1と3が答えになります。

大腿骨骨幹部骨折では骨片が周囲の筋に引かれて回旋位のまま癒合しやすく、大腿が太いために外観だけでは回旋のずれに気づきにくいという難しさがあります。固定除去後は、腹臥位で膝90度屈曲位にして股関節の内旋・外旋角を左右で比べる、歩行時のつま先の向きを確認するなど、意識して評価します。もう一つが骨化性筋炎で、大腿四頭筋内の血腫が器質化して骨化するものです。無理な他動伸張や強いマッサージが誘因になるため、後療法は疼痛のない範囲の自動運動から始め、局所の熱感・硬結や可動域の頭打ちがあれば負荷を下げて医師と相談します。

✓ 1. 注意する(=答え)
回旋変形
骨片が筋に引かれて回旋位で癒合しやすく、しかも大腿の厚みで見た目には分かりにくい変形です。腹臥位での股関節回旋角の左右比較や歩行時のつま先の向きで確認し、残存する場合は早期に医師へ相談します。
✓ 3. 注意する(=答え)
骨化性筋炎
大腿四頭筋内の血腫が器質化・骨化するもので、強い他動運動やマッサージが誘因になります。後療法は自動運動を中心に段階的に進め、熱感・硬結・可動域の停滞がみられたら負荷を落として評価し直します。
✗ 2. 注意点として挙がらない(=答えではない)
関節強直
固定期間中に生じやすいのは、大腿四頭筋の癒着・短縮による膝関節の「拘縮」です。関節構成体が骨性・線維性に癒合する「強直」は骨幹部骨折の経過で通常問題にならず、用語の区別が問われています。
✗ 4. 注意点として挙がらない(=答えではない)
挫滅症候群
四肢が長時間圧迫された後、圧迫解除でカリウムやミオグロビンが全身循環に入り、腎不全や不整脈をきたす急性期の全身合併症です。受傷直後に警戒すべきもので、固定除去後の後療法で注意する項目には当たりません。
ポイント
  • 大腿骨骨幹部骨折の後療法で注意するのは回旋変形の遺残と骨化性筋炎の2つ
  • 回旋変形は外観で分かりにくい。腹臥位・膝90度屈曲位での股関節回旋角の左右比較で確認する
  • 骨化性筋炎は血腫の器質化・骨化。強い他動伸張やマッサージが誘因になる
  • 拘縮(関節周囲軟部組織による可動域制限)と強直(関節構成体の癒合)は区別する
  • 挫滅症候群は長時間圧迫後の急性期全身合併症であり、後療法期の課題ではない
比較表
用語・病態問題となる時期内容
回旋変形固定除去後骨片が回旋位で癒合。外観で気づきにくい
骨化性筋炎固定除去後の後療法期血腫の器質化・骨化。過度な他動運動が誘因
拘縮固定中〜除去後筋・関節包など軟部組織による可動域制限
強直関節構成体の骨性・線維性癒合。本骨折では通常問題にならない
挫滅症候群受傷直後(急性期)長時間圧迫解除後の腎不全・不整脈
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