学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ30P077

理由で解く 柔道整復師

QJ30P077 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問77
問題
スポーツと肋骨・骨折の好発部位の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 ゴルフー-第3・4肋骨
2 長距離走-第1・2肋骨
3 相撲-第10~12肋骨
4 ウエイトリフティング ーー-第7~9肋骨
解答
正解2(長距離走-第1・2肋骨)
解説

肋骨の疲労骨折は「どの動作を繰り返すか」で生じる部位が決まります。上肢の振りと肩甲帯の反復動作が中心の長距離走では第1肋骨に生じるため、2が正しい組合せです。

肋骨疲労骨折は大きく二つの型に分けて考えると整理できます。一つは上肢・肩甲帯型で、第1肋骨は前斜角筋・中斜角筋が上方へ、鎖骨下筋と外肋間筋が下方へ引き合う位置にあり、しかも鎖骨下動脈溝の部分が薄くなっています。上肢を繰り返し振る動作や肩甲帯を強く固定する動作ではこの部位に応力が集中し、長距離走・投球・重量挙げなどで第1肋骨の疲労骨折が報告されます。もう一つは体幹回旋型で、前鋸筋や外腹斜筋が働く中位肋骨(おおむね第4〜9肋骨、なかでも第4〜6肋骨の後外側)に生じ、ゴルフやボート漕ぎが代表です。本問で成立するのは「長距離走―第1・2肋骨」であり、残る三つはいずれも動作の型と部位の対応が噛み合いません。

✓ 2. 正しい組合せ(=答え)
長距離走-第1・2肋骨
長時間にわたる上肢の振りと呼吸運動の反復で、斜角筋群と鎖骨下筋・肋間筋が引き合う第1肋骨に応力が集中します。頸部から肩にかけての運動時痛が続く場合に疑います。
✗ 1. 組合せが誤り(=答えではない)
ゴルフー-第3・4肋骨
ゴルフは体幹の強い回旋を伴う競技で、前鋸筋・外腹斜筋が作用する中位肋骨(第4〜6肋骨の後外側を中心)に生じる体幹回旋型です。上肢・肩甲帯型の第1肋骨とは別のタイプであり、本問で「正しい組合せ」として成立するのは長距離走―第1・2肋骨のほうです。
✗ 3. 組合せが誤り(=答えではない)
相撲-第10~12肋骨
第10〜12肋骨は仮肋・浮肋で、直達外力による骨折はあっても疲労骨折の好発部位とはされません。てっぽうのように肩甲帯を強く使う動作では、むしろ第1肋骨側に問題が出ます。
✗ 4. 組合せが誤り(=答えではない)
ウエイトリフティング ーー-第7~9肋骨
挙上時に肩甲帯を固く固定するため、応力が集中するのは第1肋骨です。上肢・肩甲帯型に分類される競技であり、中位から下位の肋骨を挙げる組合せは対応していません。
ポイント
  • 肋骨疲労骨折は「上肢・肩甲帯型(第1肋骨)」と「体幹回旋型(中位肋骨)」の二つに分けて考える
  • 第1肋骨は前斜角筋・中斜角筋(上方)と鎖骨下筋・肋間筋(下方)の牽引が拮抗し、鎖骨下動脈溝で薄い
  • 上肢の振り・肩甲帯の固定を伴う動作(長距離走、投球、重量挙げ)→第1肋骨
  • 体幹の回旋を伴う動作(ゴルフ、ボート漕ぎ、テニス)→中位肋骨(おおむね第4〜9肋骨、第4〜6肋骨後外側が中心)
  • 直達外力による肋骨骨折は肋骨角部など打撃部位に生じ、疲労骨折とは分けて考える
  • 運動時痛が続くのに明らかな外傷歴がない場合、疲労骨折を鑑別に入れて医師へ紹介する
比較表
動作の型主に働く筋好発部位競技の例
上肢の振り・肩甲帯の固定斜角筋群、鎖骨下筋、肋間筋第1肋骨長距離走、投球、重量挙げ
体幹の回旋前鋸筋、外腹斜筋中位肋骨(おおむね第4〜9、後外側が中心)ゴルフ、ボート漕ぎ、テニス
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。