学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §6 総論 骨折 / QJ30P068

理由で解く 柔道整復師

QJ30P068 柔道整復理論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問68
問題
高齢者の骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 緻密骨に多く起こる。
2 転倒で生じやすい。
3 軽度の外力で生じる。
4 自家矯正能が乏しい。-19 ー.一
解答
正解1(緻密骨に多く起こる。)
解説

高齢者の骨折は骨粗鬆症を土台に起こり、先に弱くなるのは緻密骨(皮質骨)ではなく海綿骨(骨梁)です。したがって「緻密骨に多く起こる」とした1が誤りで、これが答えになります。

加齢による骨量減少は、代謝回転が速く表面積の大きい海綿骨から進みます。骨梁が細り連結が途切れると、わずかな軸圧やねじれで潰れてしまうため、骨折は海綿骨に富む部位に集中します。具体的には椎体・大腿骨近位部(頸部/転子部)・橈骨遠位端・上腕骨近位部で、これが「高齢者の四大骨折」として繰り返し問われます。日常的な転倒という弱い外力で折れるのも、骨形成能そのものが落ちて残った変形が自然に整いにくいのも、同じ骨の脆弱化から説明できます。

✓ 1. これが誤り(=答え)
緻密骨に多く起こる。
骨粗鬆症でまず脆くなるのは海綿骨です。高齢者の骨折は椎体・大腿骨近位部・橈骨遠位端・上腕骨近位部という海綿骨に富む部位に集中し、緻密骨が主体の骨幹部が折れるにはむしろ強い外力を要します。「高齢者=海綿骨」と結びつけて覚えてください。
✗ 2. 正しい記述(=答えではない)
転倒で生じやすい。
下肢筋力・バランス機能・視力の低下、複数の内服薬などが重なり、高齢者は屋内の段差やすべりで容易に転倒します。転倒の方向と骨折部位は対応するので(尻もちなら椎体・大腿骨近位部、手をつけば橈骨遠位端)、受傷状況の聴取をていねいに行います。
✗ 3. 正しい記述(=答えではない)
軽度の外力で生じる。
立った高さからの転倒程度、あるいは咳やくしゃみ、荷物を持ち上げた程度でも折れるものを脆弱性骨折といいます。「強い外力がないから骨折ではない」と考えず、高齢者では軽微な受傷機転でも骨折を念頭に評価します。
✗ 4. 正しい記述(=答えではない)
自家矯正能が乏しい。-19 ー.一
骨膜が厚く成長も残る小児とは正反対で、高齢者はリモデリング能力が低く、残った転位や角状変形はそのまま残ります。だからこそ整復と固定の精度を高め、同時に固定中から他部位の運動と転倒予防指導を進めて廃用を防ぎます。
ポイント
  • 骨粗鬆症では代謝回転の速い海綿骨(骨梁)から先に減る。骨折部位も海綿骨に富む部位に集中する
  • 高齢者の四大骨折=椎体圧迫骨折・大腿骨近位部骨折・橈骨遠位端骨折・上腕骨近位部骨折
  • 脆弱性骨折=立位程度の高さからの転倒など、軽微な外力で生じる骨折
  • 自家矯正能は小児↔高齢者で正反対。高齢者は残存変形が残るため整復・固定の精度が求められる
  • 固定中も健側・体幹の運動と転倒予防(住環境、履物、服薬)を並行させ、廃用と再骨折を防ぐ
比較表
項目緻密骨(皮質骨)海綿骨(骨梁)
主な分布長管骨の骨幹椎体、長管骨の骨端・骨幹端
代謝回転遅い速い(表面積が大きい)
加齢の影響遅れて進む先に、強く進む
代表的な骨折骨幹部骨折(強い外力が必要)椎体圧迫、大腿骨近位部、橈骨遠位端、上腕骨近位部
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