学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §2 炎症 / QJ30P047

理由で解く 柔道整復師

QJ30P047 外科学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問47
問題
急性炎症の症状で誤っているのはどれか。
選択肢
1 発赤
2 腫脹
3 疼痛
4 冷感
解答
正解4(冷感)
解説

急性炎症の四徴は発赤・腫脹・熱感・疼痛である。血管が拡張して局所の血流が増えるため、患部は冷たくならず熱をもつ。したがって「冷感」は急性炎症の症状として誤り。

急性炎症ではまず細動脈が拡張して局所の血流量が増える(充血)。この動脈血の増加が発赤(rubor)と熱感(calor)の正体である。続いて血管透過性が亢進し、血漿成分が血管外へ漏れ出して滲出液がたまり、腫脹(tumor)が生じる。腫脹による組織内圧の上昇に加え、ブラジキニンやプロスタグランジンなどの化学伝達物質が知覚神経終末を刺激することで疼痛(dolor)が起こる。この4つがケルススの四徴で、ガレノスが機能障害(functio laesa)を加えて五徴とされる。冷感はむしろ血流が乏しい状態、すなわち動脈閉塞やショックによる末梢循環不全でみられる所見であり、成り立ちが正反対である。

✓ 4. これが誤り(正解)
冷感
急性炎症では血管拡張と血流増加が起こるため、患部は熱をもつ(熱感)。冷感は逆に血流が減った状態を示す所見で、急性炎症の徴候には含まれない。
✗ 1. 正しい記述(答えではない)
発赤
細動脈の拡張により局所の動脈血が増える(充血)ため、皮膚が赤く見える。四徴の一つ。
✗ 2. 正しい記述(答えではない)
腫脹
血管透過性の亢進で血漿成分が組織へ漏れ出し、滲出液がたまることで生じる。四徴の一つ。
✗ 3. 正しい記述(答えではない)
疼痛
腫脹による組織内圧上昇と、ブラジキニン・プロスタグランジンなどによる知覚神経終末の刺激・感作で生じる。四徴の一つ。
ポイント
  • 炎症の四徴(ケルスス)=発赤・腫脹・熱感・疼痛。これに機能障害を加えて五徴(ガレノス)。
  • 発赤と熱感はどちらも「血管拡張による血流増加」から生まれる、同じ原因の別の見え方。
  • 腫脹は血管透過性亢進による滲出、疼痛は組織内圧上昇+化学伝達物質による神経刺激。
  • 冷感は動脈閉塞やショックなど血流低下の所見。炎症とは機序が正反対と覚える。
  • 柔道整復の実務では急性期のRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)を行うが、これは「治療として冷やす」のであって「症状が冷感」ではない点を混同しない。
比較表
徴候ラテン語成り立ち
発赤rubor細動脈拡張による充血
熱感calor血流増加による局所温度上昇
腫脹tumor血管透過性亢進による滲出液貯留
疼痛dolor組織内圧上昇+ブラジキニン等による神経刺激
機能障害functio laesa上記の結果として運動・機能が制限される(第5の徴候)
(冷感)血流低下の所見。動脈閉塞・ショックなどでみられ、炎症の徴候ではない
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