学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §3 外科的感染症 / QJ24P045

理由で解く 柔道整復師

QJ24P045 外科学概論

出典:第24回柔道整復師国家試験(2016)午後 問45
問題
蜂窩織炎で正しいのはどれか。
選択肢
1 発赤を伴わない腫脹がある。
2 原因として真菌感染が多い。
3 びまん性化膿性炎症である。
4 治療は切開排膿が基本となる。
解答
正解3(びまん性化膿性炎症である。)
解説

蜂窩織炎は皮下の疎性結合組織に細菌がびまん性に広がる急性化膿性炎症で、境界の不明瞭な発赤・腫脹・熱感・疼痛を示す。

起因菌はA群β溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌といった細菌が中心で、小さな創、虫刺され、足白癬による皮膚のびらんなどが侵入門戸になる。膿瘍が被膜に囲まれて限局し波動を触れるのに対し、蜂窩織炎は組織の間隙を伝わって広がるため境界がはっきりせず、発熱、所属リンパ節腫脹、リンパ管炎(赤い線状の発赤)を伴うことがある。治療の基本は抗菌薬の全身投与と患部の安静・挙上で、切開排膿は膿瘍を形成した場合の処置。手指や足では腱鞘・筋膜に沿って感染が波及して機能障害を残すことがあり、急速に拡大して激痛・皮膚の色調変化・全身状態の悪化を伴う場合は壊死性筋膜炎を疑って緊急に医療機関へつなぐ。

✓ 3. 正しい
びまん性化膿性炎症である。
蜂窩織炎(phlegmon)の定義そのもの。皮下の疎性結合組織という「隙間の多い場所」に炎症が広がるため被膜で限局せず、境界不明瞭な発赤として現れる。限局性の化膿性炎症である膿瘍(abscess)との対比で覚えると混同しない。
✗ 1. 誤り
発赤を伴わない腫脹がある。
発赤は蜂窩織炎の主要所見。炎症の四徴(発赤・腫脹・熱感・疼痛)がそろい、境界不明瞭に広がるのが典型像。発赤も熱感もない腫脹であればリンパ浮腫や静脈うっ滞、深部静脈血栓症など別の病態を考える。
✗ 2. 誤り
原因として真菌感染が多い。
原因の大半はA群β溶血性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌などの細菌。足白癬(真菌症)は皮膚のバリアを壊して細菌の侵入門戸となるため下腿蜂窩織炎の背景になりうるが、蜂窩織炎そのものを起こしているのは細菌である。再発予防として白癬の治療や足の清潔保持を指導する。
✗ 4. 誤り
治療は切開排膿が基本となる。
基本は抗菌薬の全身投与と患部の安静・挙上・冷却。びまん性に広がっている段階では排出すべき膿の貯留がなく、切開しても効果が乏しい。膿瘍を形成して波動を触れるようになった時点で切開排膿を行う。柔道整復師の立場では、発赤の拡大や発熱があれば施術を控えて医師の診察につなぐ判断が求められる。
ポイント
  • 蜂窩織炎=皮下疎性結合組織のびまん性化膿性炎症。境界が不明瞭
  • 起因菌はA群β溶血性連鎖球菌・黄色ブドウ球菌などの細菌(真菌ではない)
  • 所見:発赤・腫脹・熱感・疼痛+発熱・所属リンパ節腫脹・リンパ管炎
  • 治療:抗菌薬の全身投与+安静・患肢挙上。膿瘍を形成したら切開排膿
  • 急速拡大・激痛・皮膚壊死・全身状態不良 → 壊死性筋膜炎を疑い緊急に医療機関へ
比較表
蜂窩織炎膿瘍丹毒
広がり方びまん性(限局しない)限局性(被膜に囲まれる)びまん性だが境界明瞭
主な部位皮下の疎性結合組織組織内の任意の部位真皮上層・浅在リンパ管
境界不明瞭明瞭(腫瘤として触れる)明瞭に隆起
波動触れない触れる触れない
主な起因菌黄色ブドウ球菌、A群溶連菌黄色ブドウ球菌などA群β溶血性連鎖球菌
治療の基本抗菌薬+安静・挙上切開排膿+抗菌薬抗菌薬(ペニシリン系)
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