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理由で解く 柔道整復師

QJ30P032 一般臨床医学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問32
問題
羽ばたき振戦を呈する疾患はどれか。
選択肢
1 神経症
2 肝性脳症
3 低カルシウム血症
4 甲状腺機能亢進症
解答
正解2(肝性脳症)
解説

羽ばたき振戦は肝性脳症の代表的な神経所見です。手関節を背屈させて保持させると、数秒ごとに手が落ちる動きが繰り返されます。

肝硬変などで肝の解毒能が落ちると、腸で産生されたアンモニアなどが処理されずに脳へ達し、代謝性脳症を起こします。これが肝性脳症で、初期には昼夜逆転や性格変化、進むと傾眠から昏睡へ至ります。羽ばたき振戦は、両上肢を前に伸ばして手関節を背屈させたまま保つよう指示すると、姿勢を保つ筋収縮が一瞬途切れて手がストンと落ち、また戻る、を繰り返す動きです。振戦という名前ですが、実際には筋活動が瞬間的に消える現象(陰性ミオクローヌス)で、リズムは不規則です。腎不全(尿毒症)や高二酸化炭素血症(CO2ナルコーシス)、ウィルソン病などの代謝性脳症でも同じ所見が出ます。ふるえを見たら、どの疾患のどの型のふるえかを分けて考える習慣をつけましょう。

✓ 2. 正しい
肝性脳症
アンモニアなどの蓄積による代謝性脳症で、羽ばたき振戦が代表的な所見です。肝硬変では腹水・黄疸・クモ状血管腫などを伴い、意識レベルの変動にも注意します。
✗ 1. 誤り
神経症
不安や心身の症状を主体とする病態で、緊張に伴うふるえがみられることはありますが、姿勢保持が瞬間的に途切れる羽ばたき振戦は生じません。
✗ 3. 誤り
低カルシウム血症
神経筋の興奮性が高まってテタニーを起こし、口周囲や四肢のしびれ、トルソー徴候、クボステック徴候がみられます。ふるえではなく持続的な筋の攣縮が特徴です。
✗ 4. 誤り
甲状腺機能亢進症
手指を伸展させると細かく速いふるえ(微細振戦)が現れます。頻脈、発汗過多、体重減少を伴い、羽ばたき振戦とは振幅もリズムも異なります。
ポイント
  • 羽ばたき振戦=肝性脳症の代表所見。手関節背屈位を保持させて誘発する。
  • 正体は姿勢保持のための筋収縮が一瞬途切れる陰性ミオクローヌス。リズムは不規則。
  • 肝以外の代謝性脳症(尿毒症、CO2ナルコーシス、ウィルソン病)でも出現する。
  • ふるえの型で鑑別:安静時振戦=パーキンソン病、姿勢時の微細振戦=甲状腺機能亢進症・本態性振戦、企図振戦=小脳障害。
  • 羽ばたき振戦や意識レベルの変動に気づいたら、施術を中止して速やかに医療機関へ連絡する。
比較表
ふるえの型出現する場面代表疾患
羽ばたき振戦手関節背屈位の保持中に不規則に落ちる肝性脳症、尿毒症、CO2ナルコーシス
安静時振戦力を抜いているとき(4〜6Hz)パーキンソン病
姿勢時の微細振戦手指を伸展保持したとき甲状腺機能亢進症、本態性振戦
企図振戦目標に近づくほど大きくなる小脳障害
テタニー(振戦ではない)持続的な筋攣縮、助産師手位低カルシウム血症
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