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理由で解く 柔道整復師

QJ30P012 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問12
問題
上水で正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢
1 上水の基準は環境基本法による。
2 上水には大腸菌を検出してはならない。
3 上水末端においては塩素が残留してはならない。
4 上水処理中に発生したトリハロメタンは発がん物質である。
解答
正解2(上水には大腸菌を検出してはならない。)、4(上水処理中に発生したトリハロメタンは発がん物質である。)
解説

水道水は大腸菌が検出されないことが水質基準で定められ、塩素消毒の副生成物であるトリハロメタンには発がん性が指摘されている。正答は2と4。

上水(飲料水)の水質基準を定めているのは水道法であり、水質基準に関する省令によって微生物・無機物・有機物・性状など多数の項目に基準値が置かれている。微生物では一般細菌が1mLあたり100個以下、大腸菌は検出されないことと規定される。消毒が確実に行き届いていることを担保するため、水道法施行規則は給水栓(蛇口)の水で遊離残留塩素0.1mg/L以上(結合残留塩素なら0.4mg/L以上)を保持するよう義務づけており、残留塩素は「あってはならないもの」ではなく「保たなければならないもの」である。一方、塩素は原水中のフミン質など有機物と反応してクロロホルムなどのトリハロメタンを生成し、発がん性が指摘されることから総トリハロメタン0.1mg/L以下という基準が設けられている。消毒による安全確保と副生成物の抑制という、二つの要請のバランスの上に水道水の基準が組み立てられている。

✓ 2. 正しい
上水には大腸菌を検出してはならない。
大腸菌はヒトや動物の腸管に常在するため、水中から検出されることは糞便による汚染、すなわち病原体混入の可能性を示す。そこで水質基準では「検出されないこと」と定められている。数値による上限ではなく「検出されないこと」という表現である点が、一般細菌(100個/mL以下)との違いとして問われやすい。
✓ 4. 正しい
上水処理中に発生したトリハロメタンは発がん物質である。
塩素消毒の過程で、原水に含まれるフミン質などの有機物と塩素が反応してクロロホルム、ブロモジクロロメタンなどのトリハロメタンが生じる。発がん性が指摘されており、総トリハロメタンは0.1mg/L以下と基準が定められている。低減策としては、原水の有機物を前処理で減らす、活性炭処理やオゾン処理などの高度浄水処理を組み合わせる、といった対応がとられる。
✗ 1. 誤り
上水の基準は環境基本法による。
蛇口から出る飲料水の基準を定めるのは水道法(および水質基準に関する省令)である。環境基本法に基づくのは、河川・湖沼・海域といった公共用水域や地下水についての環境基準であり、対象が異なる。「飲む水は水道法、環境中の水は環境基本法、工場等の排水規制は水質汚濁防止法」と守備範囲で整理する。
✗ 3. 誤り
上水末端においては塩素が残留してはならない。
実際は逆で、末端の給水栓で遊離残留塩素0.1mg/L以上を保持することが義務づけられている。配水管から蛇口に至るまでの間に細菌が入り込んでも増殖できないようにするための担保であり、残留塩素があることが安全の証になる。カルキ臭が気になる場合は煮沸や活性炭で家庭側が調整すればよく、水道側で塩素をなくすという考え方はとらない。
ポイント
  • 上水の水質基準は水道法(水質基準に関する省令)。環境基本法は公共用水域・地下水の環境基準
  • 大腸菌は「検出されないこと」、一般細菌は「1mLあたり100個以下」
  • 給水栓で遊離残留塩素0.1mg/L以上(結合残留塩素なら0.4mg/L以上)を保持する義務がある
  • トリハロメタンは塩素と原水中の有機物(フミン質)の反応で生じる副生成物。総トリハロメタン0.1mg/L以下
  • 浄水処理の基本は 沈殿→ろ過→消毒。トリハロメタン対策には活性炭・オゾンなどの高度浄水処理
比較表
法律対象定めるもの
水道法水道により供給される飲料水水質基準(大腸菌不検出、一般細菌100個/mL以下、総トリハロメタン0.1mg/L以下ほか)、残留塩素の保持
環境基本法河川・湖沼・海域・地下水公共用水域および地下水の水質環境基準
水質汚濁防止法工場・事業場からの排水排水基準による規制
下水道法下水の排除・処理下水道への排除基準、放流水の基準
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