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理由で解く 柔道整復師

QJ31P011 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問11
問題
WBGT 値を用いて発症を予防するのはどれか。
選択肢
1 潜函病
2 熱中症
3 騒音性難聴
4 頸肩腕症候群
解答
正解2(熱中症)
解説

WBGT(湿球黒球温度、暑さ指数)は熱中症を予防するための指標です。気温だけでなく湿度と輻射熱を合わせて暑熱環境を評価します。

WBGT(Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)は、湿球温度・黒球温度・乾球温度から算出される暑熱環境の指標で、単位は℃と表記されますが気温そのものではありません。屋外で日射がある場合は「0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度」、屋内など日射のない場合は「0.7×湿球温度+0.3×黒球温度」で求めます。湿球温度の重みが0.7と最も大きいのは、高湿度では汗が蒸発せず気化熱による放熱ができなくなり、体温が逃がせなくなって熱中症の危険が跳ね上がるためです。同じ気温でも湿度が高いほど危険という体感が、この式にそのまま表れています。運動に関する指針では、WBGT 28℃以上で厳重警戒、31℃以上では原則として運動を中止するとされています。柔道整復師が関わる部活動やスポーツ現場では、WBGT計を用いて測定し、水分と塩分の補給、休憩の設定、涼しい退避場所の確保をあらかじめ計画しておくことが、実務上の予防行動になります。

✓ 2. 正しい
熱中症
暑熱環境を決める要素(気温・湿度・輻射熱・気流)のうち3つを取り込んだ指標がWBGTです。熱中症の発症リスクを数値で見積もり、活動の可否や休憩の取り方を決める根拠として用いられます。
✗ 1. 誤り
潜函病
高圧下での作業から急に減圧した際、体内に溶けていた窒素が気泡化して血管や組織を傷害する減圧症です。予防には作業気圧と減圧時間のスケジュール管理(高気圧作業安全衛生規則)が用いられ、暑さ指数とは関係がありません。
✗ 3. 誤り
騒音性難聴
長期間の騒音曝露によって内耳の有毛細胞が障害されて生じます。管理には等価騒音レベル〔dB(A)〕による作業環境測定と管理区分の判定、オージオメータによる聴力検査(4000Hz付近の落ち込み=c5dipの早期発見)が用いられます。
✗ 4. 誤り
頸肩腕症候群
上肢の反復作業や不良姿勢の持続による頸部・肩・上肢の疼痛やしびれです。情報機器(VDT)作業のガイドラインに沿って、連続作業時間の制限と休憩の挿入、机・椅子・画面の高さ調整といった作業条件の管理で予防します。
ポイント
  • WBGT=湿球黒球温度、暑さ指数。熱中症予防の指標で、単位は℃だが気温ではない
  • 屋外(日射あり)=0.7×湿球+0.2×黒球+0.1×乾球/屋内(日射なし)=0.7×湿球+0.3×黒球
  • 湿球温度の重みが0.7と最大。高湿度では汗が蒸発せず放熱できないため危険度が上がる
  • 運動指針では28℃以上で厳重警戒、31℃以上は原則運動中止
  • 作業環境の指標と対応:暑熱=WBGT、騒音=等価騒音レベルdB(A)、高気圧=減圧スケジュール、上肢負担=作業時間と姿勢の管理
  • 現場では測定して終わりにせず、水分・塩分補給、休憩、涼所への退避、暑熱順化を計画に組み込む
比較表
健康障害原因となる作業環境因子用いる指標・管理方法
熱中症高温・多湿・輻射熱WBGT(暑さ指数)。28℃厳重警戒、31℃で原則中止
潜函病(減圧症)高気圧下の作業と急な減圧作業気圧と減圧時間のスケジュール(高気圧作業安全衛生規則)
騒音性難聴長期間の騒音曝露等価騒音レベル dB(A)、管理区分、オージオグラム(c5dip)
頸肩腕症候群上肢の反復作業、不良姿勢の持続作業時間の制限、休憩、机・椅子・画面の調整(情報機器作業ガイドライン)
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