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理由で解く 柔道整復師

QJ30P007 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問7
問題
世界保健機関(WHO)の主な活動内容はどれか。2つ選べ。
選択肢
1 地球温暖化対策
2 保健統計の収集
3 薬品のモニタリング
4 途上国への経済支援
解答
正解2(保健統計の収集)、3(薬品のモニタリング)
解説

WHOの中心業務は保健分野の技術的・規範的な活動であり、保健統計の収集と医薬品のモニタリング(国際基準づくり)がこれにあたる。正答は2と3。

WHOは1948年に設立された国連の専門機関で、本部はジュネーブに置かれる。WHO憲章第2条には、国際保健事業の指導的・調整的機関として働くこと、保健統計の確立と普及、感染症をはじめとする疾病の撲滅事業の推進、生物学的製剤・医薬品・食品についての国際的基準の設定、研究の促進、加盟国への技術協力などが列挙されている。国際疾病分類(ICD)の策定・改訂、世界保健統計の公表、国際医薬品モニタリング制度による副作用情報の収集、必須医薬品リストの作成は、いずれもこの条文の延長線上にある。つまりWHOは「基準をつくり、情報を集め、技術で支える」機関であって、資金供与や環境条約の交渉を主業務とする機関ではない。

✓ 2. 正しい
保健統計の収集
WHO憲章に明記された中核業務。国際疾病分類(ICD)を策定して各国の死因統計・疾病統計を比較可能な形に整え、世界保健統計として公表している。日本の死因統計もICDに準拠しており、改訂のたびに統計の連続性が問題になるのはこのためである。
✓ 3. 正しい
薬品のモニタリング
生物学的製剤や医薬品の国際的な標準・規格の設定はWHO憲章に定められた任務であり、その一環として国際医薬品モニタリング制度を運営し、加盟国から副作用情報を集約している。必須医薬品リストの作成・改訂も同じ流れにある。
✗ 1. 誤り
地球温暖化対策
温室効果ガスの削減枠組みづくりを担うのは国連環境計画(UNEP)や気候変動枠組条約の体制であり、WHOの主業務ではない。ただし無関係というわけではなく、WHOは熱中症や感染症の分布変化といった健康影響を評価し、各国に助言する立場で関与する。「環境政策そのものはUNEP、その健康影響はWHO」と役割で切り分ける。
✗ 4. 誤り
途上国への経済支援
資金の貸付や経済支援を担うのは世界銀行、国際通貨基金(IMF)、国連開発計画(UNDP)などである。WHOが途上国に対して行うのは、専門家の派遣、人材育成、技術指針の提供といった技術協力であり、資金供与とは性格が異なる。
ポイント
  • WHOは1948年設立、本部ジュネーブ。日本は西太平洋地域事務局(マニラ)に属する
  • 憲章第2条の任務=国際保健事業の指導・調整、保健統計、感染症対策、医薬品等の国際基準設定、研究促進、技術協力
  • 国際疾病分類(ICD)の策定・改訂はWHOの仕事。各国の死因統計はこれに準拠する
  • 国際医薬品モニタリング制度と必須医薬品リストもWHOが運営・作成
  • 資金・経済支援は世界銀行やIMF、環境条約はUNEP。WHOの守備範囲と混同しない
比較表
機関主な役割
WHO(世界保健機関)保健統計、国際疾病分類(ICD)策定、感染症対策、医薬品の国際基準とモニタリング、技術協力
UNICEF(国連児童基金)母子保健、予防接種、栄養、安全な水など子どもへの直接支援
ILO(国際労働機関)労働条件・労働安全衛生に関する国際基準づくり
FAO(国連食糧農業機関)食糧・農業。WHOと合同で食品規格(コーデックス)を運営
UNEP(国連環境計画)地球環境問題、温暖化・オゾン層など環境政策
世界銀行・IMF(国際通貨基金)途上国への資金供与・融資、経済支援
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