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理由で解く 柔道整復師

QJ31P002 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問2
問題
分析疫学でまれな疾患に用いられるのはどれか。
選択肢
1 症例報告
2 症例対照研究
3 コホート研究
4 無作為化比較対照試験
解答
正解2(症例対照研究)
解説

分析疫学の中心となるのは症例対照研究とコホート研究で、このうちまれな疾患に用いるのは症例対照研究です。患者を先に集められるため、頻度の低い疾患でも研究が成立します。

疫学研究は、いつ・どこで・誰に多いかを記述する記述疫学、要因と疾病の関連を統計的に検証する分析疫学、人為的に介入して効果を確かめる介入研究に大きく分かれます。症例対照研究は、すでに発病した患者群(症例)と発病していない対照群を集め、過去にさかのぼって曝露の有無を比較する後ろ向きの手法で、必要な人数が少なく、短期間・低コストで実施でき、指標にはオッズ比を用います。一方コホート研究は、曝露の有無で分けた集団を将来に向かって追跡するため、罹患率そのものが求められ相対危険度を直接計算できますが、まれな疾患では追跡しても発症者がほとんど出ず、膨大な対象者と長い期間が必要になります。ここから「まれな疾患なら症例対照研究、まれな曝露ならコホート研究」と対にして覚えるのが実戦的です。

✓ 2. 正しい
症例対照研究
発病した人を出発点にするため、頻度の低い疾患でも症例さえ集められれば研究が成立します。まれな疾患でコホート研究を組むと発症者がほとんど得られませんが、この手法ならその制約を回避できます。
✗ 1. 誤り
症例報告
珍しい症例の経過をありのままに記述するもので、記述疫学に属します。比較する対照群がないため要因と疾病の関連を検証(分析)することはできません。ただし新しい仮説を生み出す出発点としての価値は大きく、そこから分析疫学へ進むという流れで理解しておくとよいでしょう。
✗ 3. 誤り
コホート研究
分析疫学の一手法ではありますが、まれな疾患には向きません。発症者を十分に得るために対象者数と追跡期間が跳ね上がるためです。曝露が珍しい場合(特定の職業曝露など)や、原因と結果の時間的前後関係をはっきりさせたい場合に力を発揮します。
✗ 4. 誤り
無作為化比較対照試験
対象者をくじ引きで介入群と対照群に割り付ける介入研究であり、観察研究である分析疫学の枠には入りません。因果関係を示す力は最も強い一方、治療法の効果検証に用いる設計であって、まれな疾患の原因を探る目的には適しません。
ポイント
  • 疫学研究の流れは 記述疫学(症例報告・症例集積・患者の頻度と分布の記述)→ 分析疫学(横断研究・生態学的研究〈地域相関研究〉・症例対照研究・コホート研究)→ 介入研究(無作為化比較対照試験)。仮説を立て、観察で検証し、最後に介入で確かめる
  • 分析疫学は観察研究の総称で、その中心が症例対照研究とコホート研究。横断研究・生態学的研究(地域相関研究)も分析疫学に含めるのが標準的な扱いだが、教材によっては記述疫学側に置くこともあるので、分類問題では出題元のテキストを確認する
  • まれな疾患=症例対照研究、まれな曝露=コホート研究。この対で覚える
  • 症例対照研究=後ろ向き・オッズ比、コホート研究=前向き・罹患率と相対危険度/寄与危険度
  • 症例対照研究は思い出しバイアス(過去の曝露の記憶違い)と対照群の選び方に弱点がある
  • エビデンスの強さは 症例報告 < 症例対照研究 < コホート研究 < 無作為化比較対照試験 の順
比較表
症例対照研究コホート研究
出発点疾病の有無(患者と対照)曝露の有無
時間の向き後ろ向き(過去にさかのぼる)前向き(将来へ追跡)
主な指標オッズ比罹患率、相対危険度、寄与危険度
まれな疾患向く向かない
まれな曝露向かない向く
費用・期間少ない・短い多い・長い
弱点思い出しバイアス、対照群の選択脱落、長期間、大規模集団が必要
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