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理由で解く 柔道整復師

QJ31P003 衛生学・公衆衛生学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午後 問3
問題
ロコモティブシンドロームの直接原因となるのはどれか。
選択肢
1 高血圧
2 糖尿病
3 骨粗鬆症
4 脂質異常症
解答
正解3(骨粗鬆症)
解説

ロコモティブシンドロームは、運動器そのものの障害によって移動機能が低下した状態です。選択肢のうち運動器の疾患は骨粗鬆症だけで、これが直接原因になります。

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)は日本整形外科学会が2007年に提唱した概念で、骨・関節・筋肉・神経といった運動器の障害により立つ・歩くなどの移動機能が低下し、進行すると要介護状態に至る危険が高まった状態を指します。直接の原因として挙げられるのは、骨粗鬆症とそれに伴う脆弱性骨折(とくに大腿骨近位部骨折・椎体骨折)、変形性膝関節症、変形性脊椎症や腰部脊柱管狭窄症、そして加齢による筋量・筋力低下であるサルコペニアなどです。これに対して高血圧・糖尿病・脂質異常症は、内臓脂肪の蓄積を軸としたメタボリックシンドロームの構成要素で、動脈硬化を介して脳卒中や虚血性心疾患につながる別系統の経路をたどります。「ロコモは運動器、メタボは血管」と軸を分けて整理すると、この種の問題は一目で切り分けられます。

✓ 3. 正しい
骨粗鬆症
骨量が減少して骨がもろくなり、わずかな外力でも椎体や大腿骨近位部が折れます。骨折による疼痛・変形・歩行障害がそのまま移動機能の低下に直結するため、ロコモの直接原因の代表として位置づけられています。柔道整復師にとっては、高齢者の転倒予防と脆弱性骨折の見逃し防止が実務上の要点になります。
✗ 1. 誤り
高血圧
血管への負荷を高め、脳卒中や心疾患の最大の危険因子となります。脳卒中による麻痺を経て移動を妨げることはありますが、それは間接的な経路であり、運動器そのものを障害する疾患ではありません。メタボリックシンドロームの構成要素です。
✗ 2. 誤り
糖尿病
神経障害・網膜症・腎症を三大合併症とする代謝疾患です。骨質の低下や筋力低下に関与しうることは知られていますが、ロコモの直接原因として問われる運動器疾患には含まれません。
✗ 4. 誤り
脂質異常症
LDLコレステロールや中性脂肪の高値、HDLコレステロールの低値によって動脈硬化を進める病態です。これもメタボリックシンドロームの構成要素であり、運動器の障害を直接引き起こすものではありません。
ポイント
  • ロコモティブシンドローム=運動器の障害で移動機能が低下し、要介護のリスクが高まった状態(日本整形外科学会、2007年提唱)
  • 三大原因は骨粗鬆症(+脆弱性骨折)、変形性関節症、脊柱管狭窄症。ここにサルコペニアが加わる
  • メタボリックシンドロームは内臓脂肪蓄積+高血圧・高血糖・脂質異常で、標的は血管。ロコモとは経路が別
  • 要介護になる原因では、認知症・脳血管疾患と並んで「骨折・転倒」「関節疾患」という運動器の問題が大きな割合を占める
  • 評価には立ち上がりテスト、2ステップテスト、ロコモ25の3つが使われる
比較表
ロコモティブシンドロームメタボリックシンドローム
障害される場所運動器(骨・関節・筋・神経)血管(動脈硬化)
中心となる病態移動機能の低下内臓脂肪の蓄積とインスリン抵抗性
代表的な原因・要素骨粗鬆症、変形性関節症、脊柱管狭窄症、サルコペニア高血圧、高血糖(糖尿病)、脂質異常症
行き着く先転倒・骨折 → 要介護、寝たきり脳卒中、虚血性心疾患
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