学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ30P001

理由で解く 柔道整復師

QJ30P001 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問1
問題
WHO 憲章に述べられている健康で正しいのはどれか。
選択肢
1 身体だけでなく精神的にも完全な状態である。
2 健康の向上において公衆の積極的な関与は重要ではない。
3 最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。
4 享受できる健康水準に対する権利は国の事情によって異なる。
解答
正解3(最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。)
解説

WHO憲章の健康の定義は「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」であり、さらに「到達しうる最高水準の健康を享受することは万人の基本的権利」と明記されている。正答は3。

WHO憲章(1946年採択、1948年4月7日発効)の前文は、健康を「単に疾病または虚弱でないというだけでなく」と念を押したうえで、身体・精神・社会の3側面がそろって良好である状態と定義する。続けて、人種・宗教・政治的信念・経済的社会的条件のいかんを問わず、到達しうる最高水準の健康を享受することは万人の基本的権利であると述べる。さらに「人々の健康の増進には、公衆の十分な情報に基づく意見と積極的な協力が最も重要である」として、住民参加を前提に置いている。選択肢は前文のどこを切り取り、どこを落としたかを照らし合わせれば判断できる。

✓ 3. 正しい
最高の健康水準を享受することは万人の基本的権利である。
前文の記述そのもの。核心は「万人の」という部分で、人種・宗教・政治的信念・経済的社会的条件による区別を認めないという宣言になっている。健康を「恩恵」ではなく「権利」と位置づけた点が、その後の公衆衛生の出発点となった。
✗ 1. 誤り
身体だけでなく精神的にも完全な状態である。
3側面のうち「社会的」が抜け落ちている。社会的に良好とは、人間関係や役割、社会参加が保たれていることを指し、身体・精神と並ぶ柱として明記されている。3つのうち1つでも欠けた記述は定義として成立しないと判断してよい。
✗ 2. 誤り
健康の向上において公衆の積極的な関与は重要ではない。
憲章の記述と正反対になっている。前文は公衆の積極的な協力を「最も重要」と位置づけており、この考え方はのちのプライマリヘルスケアの住民参加、ヘルスプロモーションの住民主体へと受け継がれた。健康づくりは行政や医療者だけで完結せず、住民自身が主体になる前提で読む。
✗ 4. 誤り
享受できる健康水準に対する権利は国の事情によって異なる。
前文は経済的・社会的条件による差別を明確に否定している。実際の到達度に国家間格差があることと、権利そのものが国によって変わることは別問題で、憲章は後者を認めない。むしろ「各国の健康増進の発展が不均等であることは共通の危険である」として、格差の是正を国際的な課題としている。
ポイント
  • 健康=身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態。「疾病・虚弱でないだけでは足りない」が前文の主張
  • 最高水準の健康の享受は、人種・宗教・政治的信念・経済的社会的条件によらない万人の基本的権利
  • 公衆の積極的な関与(住民参加)が健康増進に不可欠と明記されている
  • WHO憲章は1946年採択・1948年4月7日発効。この日が世界保健デー
  • 3側面のうち1つを落とした選択肢、権利に条件を付けた選択肢は誤りと判断する
比較表
論点WHO憲章前文の記述本問での引っかけ方
健康の3側面身体的・精神的・社会的に完全に良好選択肢1は「社会的」を削って不完全にする
権利性最高水準の健康の享受は万人の基本的権利選択肢3がそのまま該当(正答)
公衆の役割公衆の積極的協力が最も重要選択肢2は「重要ではない」と反転させる
差別の否定人種・宗教・政治的信念・経済的社会的条件を問わない選択肢4は「国の事情による」と条件を付ける
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