学習トップ理由で解く 柔道整復師衛生学・公衆衛生学 ▸ §1 健康の保持増進と疾病予防 / QJ30P002

理由で解く 柔道整復師

QJ30P002 衛生学・公衆衛生学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午後 問2
問題
プライマリヘルスケアにあてはまらないのはどれか。
選択肢
1 疾病の予防
2 先進医療の提供
3 地域住民の健康管理
4 専門病院との連携機能の保持
解答
正解2(先進医療の提供)
解説

プライマリヘルスケア(PHC)は、地域住民が主体となり、身近で入手可能・負担可能な基本的保健医療を全員に届けようとする考え方。高度で高価な先進医療の提供はこの枠組みに当てはまらない。正答は2。

PHCは1978年のアルマ・アタ宣言で提唱され、「2000年までにすべての人に健康を」という目標を掲げた。実践の原則は、住民のニーズに基づくこと、地域資源を有効に使うこと、住民が参加すること、農業や教育など他分野と協調することの4点である。活動内容として、健康教育、食糧供給と栄養改善、安全な水と基本的環境衛生、母子保健と家族計画、主要な感染症の予防接種、地方流行病の対策、日常的な疾病・外傷の適切な処置、必須医薬品の供給の8項目が挙げられている。いずれも「安く・広く・住民自身の手で」という性格で共通しており、この物差しを当てれば当てはまらない選択肢が見える。

✓ 2. あてはまらない(これが正答)
先進医療の提供
先進医療は高度な設備・専門人材・多額の費用を必要とし、地域の誰もが利用できる第一線のケアという性格と相容れない。PHCが担うのは日常的な疾病・外傷の適切な処置までで、それを超える医療は紹介によって上位施設に委ねる。限られた資源をどう全員に行き渡らせるかを考える枠組みだと理解しておく。
✗ 1. あてはまる(正答ではない)
疾病の予防
8項目のうち予防接種、安全な水と環境衛生、栄養改善、地方流行病対策と、中心は予防で占められている。治療より予防のほうが少ない資源で多くの人を守れるという発想がPHCの土台にある。
✗ 3. あてはまる(正答ではない)
地域住民の健康管理
母子保健、健康教育、地方流行病の把握と対策は、まさに地域住民の健康管理そのもの。住民のニーズから出発し住民が参加するという原則からも、地域単位の健康管理はPHCの中核に位置する。
✗ 4. あてはまる(正答ではない)
専門病院との連携機能の保持
第一線で対応できない症例を上位施設へつなぐ紹介(リファーラル)体制は、アルマ・アタ宣言でもPHCの構成要素として位置づけられている。PHCは「先進医療をしない」のではなく、必要な人を必要な場所へ確実につなぐ入口として機能する。
ポイント
  • PHCは1978年アルマ・アタ宣言。標語は「2000年までにすべての人に健康を」
  • 4原則=住民のニーズ重視、地域資源の有効活用、住民参加、他分野との協調
  • 8つの活動項目は健康教育・栄養・安全な水と環境衛生・母子保健と家族計画・予防接種・地方流行病対策・日常的な疾病外傷の処置・必須医薬品供給
  • 判断の物差しは「安く・広く・住民自身の手で届くか」。高度先進医療はここから外れる
  • 上位施設への紹介体制はPHCの一部。第一線と専門医療は対立しない
比較表
プライマリヘルスケアヘルスプロモーション
提唱1978年 アルマ・アタ宣言1986年 オタワ憲章
主な想定開発途上国を含む全世界の基本的保健医療先進国の生活習慣病・健康づくり
目標すべての人に基本的保健医療を届ける人々が自らの健康を管理し改善できるようにする
手段予防接種・安全な水・栄養・母子保健など8項目健康的な公共政策づくり、支援的環境づくりなど5項目
共通点住民参加・他分野との協調を柱に据える
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