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理由で解く 柔道整復師

QJ30A127 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問127
問題
前癌病変でないのはどれか。
選択肢
1 食道異形成
2 大腸腺腫
3 子宮頸部異形成
4 前立腺肥大
解答
正解4(前立腺肥大)
解説

前立腺肥大(症)は良性の過形成であり、そこから癌が発生する経路は示されていない。前癌病変でないのは4で、これが答え。

前癌病変とは、放置すると癌になる確率が高い形態学的変化のことで、多くは異形成(dysplasia)や腺腫のように、上皮内で細胞異型・構造異型を示す。前立腺肥大症は、加齢とアンドロゲンの影響で内腺(移行領域)の腺組織と平滑筋が増える過形成であり、細胞に異型はなく、増えているのは正常な構造の細胞である。前立腺癌は主に外腺(辺縁領域)から発生し、その前癌病変としては前立腺上皮内腫瘍(PIN)が知られている。発生する場所も違うため、同じ前立腺に肥大症と癌が併存することはあっても、それは因果関係ではなく、どちらも高齢男性に多いという共通点の反映である。前立腺肥大症では排尿困難・頻尿・残尿感が生じるので、こうした訴えを聞いたときは自己判断で経過をみるのではなく泌尿器科の受診をすすめる、という対応につなげたい。

✓ 4. これが答え(前癌病変ではない)
前立腺肥大
移行領域(内腺)に生じる良性の過形成で、細胞異型を伴わない。癌が発生するのは主に辺縁領域(外腺)であり、肥大症が癌化するという経路は示されていない。前立腺の前癌病変とされるのはPIN(前立腺上皮内腫瘍)である。
✗ 1. 前癌病変である(答えではない)
食道異形成
食道の重層扁平上皮に細胞異型・構造異型が現れた状態で、進行すると食道扁平上皮癌となる。喫煙と飲酒が背景因子。
✗ 2. 前癌病変である(答えではない)
大腸腺腫
腺腫から癌へ至る経路(adenoma-carcinoma sequence)が確立しており、APC、KRAS、p53などの遺伝子変化を段階的に重ねて癌化する。内視鏡でのポリープ切除が癌の予防になる。
✗ 3. 前癌病変である(答えではない)
子宮頸部異形成
高リスク型HPVの持続感染で生じる子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)。軽度から高度へ進み、上皮内癌を経て浸潤癌に至る。細胞診検診で拾い上げる対象。
ポイント
  • 前癌病変=放置すると癌になる確率が高い病変。異形成や腺腫のように細胞異型・構造異型を伴うのが基本。
  • 過形成(前立腺肥大症など)は細胞数が増えるだけで異型がなく、前癌病変とは区別する。
  • 前立腺は「肥大症=移行領域(内腺)」「癌=辺縁領域(外腺)」と発生部位が違う。前癌病変はPIN。
  • 大腸は腺腫→癌の経路が明確で、ポリープ切除が予防になる。
  • 子宮頸部異形成(CIN)は高リスク型HPVによるもので、検診とワクチンが対策の柱。
比較表
病変位置づけ行き先
食道異形成前癌病変食道扁平上皮癌
大腸腺腫前癌病変大腸腺癌
子宮頸部異形成(CIN)前癌病変子宮頸部扁平上皮癌
前立腺上皮内腫瘍(PIN)前癌病変前立腺癌
前立腺肥大(症)良性の過形成(異型なし)癌化する経路は示されていない
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