学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §9 腫瘍 / QJ30A118

理由で解く 柔道整復師

QJ30A118 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問118
問題
疾患の外因と悪性新生物の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢
1 紫外線 --皮膚癌
2 ヒトパピローマウイルス ーーー・子宮体癌
3 タバコー・肺癌
4 アスベスト-中皮腫
解答
正解2(ヒトパピローマウイルス ーーー・子宮体癌)
解説

ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因になるのは子宮「頸」癌であって子宮「体」癌ではない。組合せとして誤っているのは2で、これが答え。

HPVは重層扁平上皮に感染するウイルスで、E6蛋白がp53を、E7蛋白がRB蛋白をそれぞれ不活化し、細胞周期のブレーキを外すことで発癌に向かわせる。感染の場となるのは子宮頸部の扁平円柱上皮境界(SCJ)で、異形成(CIN)を経て扁平上皮癌へ進む。高リスク型は16型・18型で、ワクチンと細胞診検診が予防の柱になる。これに対し子宮体癌(子宮内膜癌)は大半が類内膜癌で、エストロゲンの持続的な刺激(肥満、未経産、無排卵周期、遅い閉経・早い初経、エストロゲン単独補充療法、タモキシフェン)が最大の危険因子であり、HPVは関与しない。なお好発するのは閉経後の50〜60歳代だが、これは年齢分布の話であって、閉経そのものがエストロゲンの持続刺激を生むわけではない(閉経後の卵巣由来エストロゲンはむしろ低下し、肥満脂肪組織のアロマターゼ由来エストロンや閉経までの累積曝露が背景にある)。同じ子宮でも頸部と体部では上皮の種類・組織型・原因がまるごと違う、という対比で覚えると取りこぼしがない。

✓ 2. これが答え(組合せが誤り)
ヒトパピローマウイルス ーーー・子宮体癌
HPVと結びつくのは子宮頸癌(扁平上皮癌)で、子宮体癌ではない。体癌の主因はエストロゲンの持続刺激。したがってこの組合せが誤りであり、設問の答えになる。
✗ 1. 正しい組合せ(答えではない)
紫外線 --皮膚癌
紫外線(特にUVB)はDNAにピリミジン二量体を作って変異を起こし、基底細胞癌・有棘細胞癌・悪性黒色腫の原因になる。組合せとして正しい。
✗ 3. 正しい組合せ(答えではない)
タバコー・肺癌
タバコ煙に含まれるベンゾピレンなどの化学発癌物質が気道上皮を傷害する。特に扁平上皮癌・小細胞癌との関連が強い。組合せとして正しい。
✗ 4. 正しい組合せ(答えではない)
アスベスト-中皮腫
吸入されたアスベスト繊維が胸膜に達し、20〜40年という長い潜伏期を経て悪性中皮腫を起こす。肺癌のリスクも高める。組合せとして正しい。
ポイント
  • HPV=子宮頸癌(扁平上皮癌)。子宮体癌はエストロゲンの持続刺激が主因で、原因が別物。
  • 子宮体癌の危険因子=肥満、未経産、無排卵周期、遅い閉経・早い初経、エストロゲン単独補充療法、タモキシフェン。好発年齢は閉経後の50〜60歳代(年齢分布であって「持続刺激」の要因ではない)。
  • HPVのE6→p53を、E7→RBを不活化して細胞周期のブレーキを外す。高リスク型は16・18型。
  • 紫外線→皮膚癌、タバコ→肺癌、アスベスト→中皮腫はいずれも典型的な外因と腫瘍の組合せ。
  • アスベストは潜伏期が20〜40年と長い。曝露歴の問診が手がかりになる。
  • 「同じ臓器でも部位が違えば上皮も原因も違う」という視点は子宮・食道・胃などで繰り返し問われる。
比較表
外因主に関連する腫瘍
紫外線(UVB)基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫
HPV(16・18型)子宮頸癌、中咽頭癌、肛門癌
エストロゲンの持続刺激子宮体癌(類内膜癌)
タバコ肺癌、喉頭癌、膀胱癌
アスベスト悪性中皮腫、肺癌
HBV・HCV肝細胞癌
Helicobacter pylori胃癌、胃MALTリンパ腫
EBウイルスBurkittリンパ腫、上咽頭癌
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。