学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ30A117

理由で解く 柔道整復師

QJ30A117 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問117
問題
奇形の原因となるのはどれか。
選択肢
1 結核菌
2 カンジダ
3 風疹ウイルス
4 B型肝炎ウイルス
解答
正解3(風疹ウイルス)
解説

妊娠初期の母体が風疹に初感染すると、経胎盤感染により先天性風疹症候群(白内障・感音難聴・心奇形)が生じる。4肢のうち催奇形性が確立しているのは風疹ウイルスだけで、正解は3。

胎児の器官形成は妊娠4〜12週ごろに集中しており、この臨界期に働いた因子ほど形態異常を起こしやすい。風疹ウイルスは胎盤を通って胎児へ移行し、細胞分裂を抑制したり血管内皮を傷害したりして器官形成を妨げる。妊娠1か月以内の感染では奇形の発生率が高く、週数が進むほど低下していく。母子感染で問題になる病原体はTORCH(トキソプラズマ、その他=梅毒やB型肝炎など、風疹、サイトメガロウイルス、単純ヘルペス)としてまとめられるが、そのすべてが催奇形性を持つわけではなく、風疹・サイトメガロウイルス・トキソプラズマのように器官形成期に胎児へ届くものが形態異常につながる。風疹はワクチンで防げる催奇形因子なので、妊娠を希望する女性とその同居家族に抗体価の確認と予防接種をすすめることが実際の対策になる。

✓ 3. 正しい
風疹ウイルス
妊娠初期に経胎盤感染して先天性風疹症候群を起こす。三徴は白内障(眼)、感音難聴(耳)、心奇形(動脈管開存・肺動脈狭窄など)。ワクチンで予防可能な催奇形因子として最重要。
✗ 1. 誤り
結核菌
主に経気道の飛沫核感染で肺結核を起こす。先天性結核はきわめてまれで、器官形成期に形態異常を生じさせる催奇形因子には数えられない。
✗ 2. 誤り
カンジダ
口腔や腟の常在真菌で、免疫低下や抗菌薬使用時に日和見感染(口腔カンジダ症、腟カンジダ症)を起こす。新生児は産道感染で鵞口瘡を生じることがあるが、奇形の原因にはならない。
✗ 4. 誤り
B型肝炎ウイルス
母子感染は主に分娩時の産道での血液曝露によるもので、問題になるのはキャリア化と慢性肝炎・肝硬変・肝細胞癌への進展であり、催奇形性はない。出生直後の抗HBs人免疫グロブリンとHBワクチンで感染を防ぐ。
ポイント
  • 器官形成期(妊娠4〜12週ごろ)に働いた因子ほど奇形を起こしやすい。時期がずれると影響は小さくなる。
  • 先天性風疹症候群の三徴=白内障・感音難聴・心奇形。妊娠初期ほど頻度が高い。
  • 母子感染の代表はTORCH。ただし全部が催奇形因子ではなく、経胎盤で器官形成期に届くものが問題になる。
  • B型肝炎ウイルスは「分娩時感染でキャリア化」が要点で、奇形とは結びつかない。
  • 風疹はワクチンで防げるので、妊娠希望者と同居家族の抗体確認・接種が具体的な対策になる。
比較表
病原体母子感染の主な経路胎児・新生児への影響
風疹ウイルス経胎盤(妊娠初期)先天性風疹症候群:白内障・感音難聴・心奇形
サイトメガロウイルス経胎盤小頭症、難聴、肝脾腫、脳内石灰化
トキソプラズマ経胎盤水頭症、脈絡網膜炎、脳内石灰化
B型肝炎ウイルス分娩時(産道での血液曝露)キャリア化・慢性肝炎(奇形ではない)
カンジダ産道鵞口瘡・皮膚カンジダ症(奇形ではない)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。