学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §10 先天性異常 / QJ29A128

理由で解く 柔道整復師

QJ29A128 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問128
問題
単因子遺伝性疾患はどれか。
選択肢
1 統合失調症
2 糖尿病
3 血友病
4 痛風
解答
正解3(血友病)
解説

単因子(単一遺伝子)遺伝性疾患は、1つの遺伝子の異常だけで発症が決まり、メンデルの法則に従って伝わる。選択肢のなかでこれに当たるのは血友病である。

血友病は凝固第Ⅷ因子(血友病A)または第Ⅸ因子(血友病B)の遺伝子異常によるX連鎖潜性(伴性劣性)遺伝疾患で、X染色体を1本しかもたない男児に発症し、女性は通常保因者にとどまる。凝固カスケードの内因系が働かないため二次止血が障害され、関節内出血や筋肉内出血を繰り返して血友病性関節症を残しやすい。これに対して統合失調症・2型糖尿病・痛風は、影響の小さい複数の遺伝子(感受性遺伝子)が積み重なったところに生活習慣や環境要因が加わって発症する多因子遺伝性疾患であり、家族内集積はみられてもメンデル比では遺伝しない。「1つの遺伝子で発症が決まるのか、それとも素因+環境なのか」という一点で振り分けるのが解法の軸になる。

✓ 3. 正しい
血友病
第Ⅷ因子(血友病A)または第Ⅸ因子(血友病B)の単一遺伝子異常によるX連鎖潜性遺伝。凝固因子の欠乏で二次止血が障害され、関節内・筋肉内の深部出血を繰り返す。出血傾向のある方への施術では、強い圧迫や過度の徒手操作を避け、主治医と連携して進める。
✗ 1. 誤り
統合失調症
一卵性双生児での一致率は高いが単一遺伝子では説明できず、複数の感受性遺伝子と環境要因が関わる多因子遺伝性疾患である。
✗ 2. 誤り
糖尿病
大多数を占める2型糖尿病は、インスリン分泌能やインスリン抵抗性に関わる複数の遺伝素因に、肥満・運動不足・食生活が重なって発症する多因子遺伝性疾患。生活習慣の調整が発症予防につながる。
✗ 4. 誤り
痛風
尿酸の産生・排泄に関わる遺伝素因に、プリン体の過剰摂取・飲酒・肥満が加わって高尿酸血症となり発症する多因子疾患。食事と飲酒の見直しが再発予防の基本になる。
ポイント
  • 単因子遺伝性疾患=1つの遺伝子の異常で発症し、メンデル遺伝形式をとる。
  • 常染色体顕性(優性):マルファン症候群、家族性大腸腺腫症、神経線維腫症、軟骨無形成症。
  • 常染色体潜性(劣性):フェニルケトン尿症、ウィルソン病、鎌状赤血球症。
  • X連鎖潜性:血友病A・B、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、赤緑色覚異常。男性に発症が偏る。
  • 多因子遺伝性疾患:糖尿病、本態性高血圧、統合失調症、痛風、口唇口蓋裂。生活習慣の調整が予防に結びつく。
比較表
分類成立のしかた遺伝形式代表疾患
単因子(単一遺伝子)遺伝性疾患1個の遺伝子変異で発症が決まるメンデル遺伝に従う血友病、フェニルケトン尿症、マルファン症候群
多因子遺伝性疾患複数の感受性遺伝子+環境要因メンデル比に従わない(家族集積あり)糖尿病、高血圧、統合失調症、痛風
染色体異常染色体の数や構造の異常多くは突然変異(遺伝しないことが多い)ダウン症候群、ターナー症候群
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。