学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ30A126

理由で解く 柔道整復師

QJ30A126 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問126
問題
薬剤注射直後に起こり得る副反応の機序はどれか。
選択肢
1 IgE が抗原と結合して誘導される即時型反応
2 細胞膜抗原に結合する抗体に誘導される細胞傷害反応
3 免疫複合体に誘導される組織傷害反応
4 Tリンパ球に誘導される遅延型反応
解答
正解1(IgE が抗原と結合して誘導される即時型反応)
解説

注射の直後という「分単位」の速さで起こる副反応は、あらかじめ肥満細胞に結合していたIgEに抗原が架橋して脱顆粒が起こるI型(即時型)アレルギー。正解は1。

アレルギーは反応の様式でI〜IV型に分けられ、発症までの時間が型ごとに違う。この「時間」を手がかりにすると型の判別が速い。I型では、感作の段階で作られたIgEが肥満細胞・好塩基球の表面に結合して待機しており、再び抗原が入ると隣り合う2分子のIgEを橋渡しして脱顆粒が起こる。ヒスタミンやロイコトリエンが一気に放出されるため、数分以内に蕁麻疹、喉頭浮腫、気管支攣縮、血圧低下が現れる(アナフィラキシー)。注射は抗原が直接血中や組織に入るので発症が速く重篤化しやすい。医療機関では、直ちに注射を中止し、応援要請・救急要請のうえ仰臥位で下肢を挙上し、気道・呼吸・循環を確認する。第一選択はアドレナリンの筋肉内注射である。柔道整復の現場では、注射や投薬は業として行えないため、他院で注射を受けた直後の来院者や施術中の急変に遭遇した場合は、施術を中止して仰臥位・下肢挙上とし、直ちに救急要請して医療機関につなぐ。あわせて、アレルギー既往や薬物過敏の問診をあらかじめ行い、急変時に誰が何をして救急につなぐかの手順を決めて共有しておくことが備えになる。

✓ 1. 正しい
IgE が抗原と結合して誘導される即時型反応
I型(即時型・アナフィラキシー型)。肥満細胞表面のIgEに抗原が結合・架橋して脱顆粒が起こり、ヒスタミンなどが放出される。数分以内に発症するため「注射直後」に合致する。
✗ 2. 誤り
細胞膜抗原に結合する抗体に誘導される細胞傷害反応
II型(細胞傷害型)。IgG・IgMが細胞表面の抗原に結合し、補体やNK細胞が細胞を破壊する。不適合輸血、自己免疫性溶血性貧血、Goodpasture症候群が代表で、注射直後の分単位の反応の説明にはならない。
✗ 3. 誤り
免疫複合体に誘導される組織傷害反応
III型(免疫複合体型)。抗原抗体複合体が血管壁や糸球体に沈着し補体を活性化して組織を傷害する。血清病、急性糸球体腎炎、SLEが代表で、発症までに数時間から数日かかる。
✗ 4. 誤り
Tリンパ球に誘導される遅延型反応
IV型(遅延型)。抗体ではなく感作T細胞とマクロファージが主役で、反応のピークは24〜48時間後。ツベルクリン反応、接触皮膚炎、金属アレルギーが代表で、直後の反応ではない。
ポイント
  • 「発症までの時間」で型を見分ける。数分=I型、数時間〜数日=III型、24〜48時間=IV型。
  • I型は肥満細胞表面のIgEに抗原が架橋して脱顆粒。ヒスタミンなどが一気に出てアナフィラキシーになる。
  • II型は細胞表面抗原+IgG/IgMと補体、III型は免疫複合体の沈着、IV型は感作T細胞とマクロファージ。
  • IV型だけが抗体を介さない細胞性免疫の反応。
  • アナフィラキシーへの対応(医療機関)=直ちに注射を中止し、応援要請・救急要請、仰臥位・下肢挙上、気道と呼吸・循環の確認。第一選択はアドレナリンの筋肉内注射。
  • アナフィラキシーへの対応(施術所)=注射・投薬は柔道整復師の業務外。施術を中止して仰臥位・下肢挙上とし、直ちに救急要請して医療機関につなぐ。
比較表
主役発症までの時間代表例
I型(即時型)IgE・肥満細胞数分アナフィラキシー、蕁麻疹、花粉症、気管支喘息
II型(細胞傷害型)IgG・IgM・補体数分〜数時間不適合輸血、自己免疫性溶血性貧血、重症筋無力症
III型(免疫複合体型)免疫複合体・補体数時間〜数日血清病、急性糸球体腎炎、SLE
IV型(遅延型)感作T細胞・マクロファージ24〜48時間ツベルクリン反応、接触皮膚炎、金属アレルギー
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