学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ30A125

理由で解く 柔道整復師

QJ30A125 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問125
問題
後天性免疫不全症候群(AIDS)で誤っているのはどれか。
選択肢
1 HIV ウイルス感染によって起こる。
2 CD8+T細胞が選択的に傷害される。
3 日和見感染を起こす。
4 悪性リンパ腫を合併する。
解答
正解2(CD8+T細胞が選択的に傷害される。)
解説

HIVが選択的に感染して破壊するのはCD4陽性のヘルパーT細胞であり、CD8陽性T細胞ではない。記述として誤っているのは2で、これが答え。

HIVはエンベロープ蛋白gp120でCD4分子に結合し、CCR5やCXCR4を共受容体として細胞内に侵入する。CD4はヘルパーT細胞(およびマクロファージ、樹状細胞)が持つ分子なので、感染と破壊はヘルパーT細胞に集中する。ヘルパーT細胞は細胞性免疫と液性免疫の両方を指揮する司令塔であるため、これが減ると免疫全体が崩れていく。CD4陽性細胞数が200/μLを下回るあたりから日和見感染や悪性腫瘍が現れ、定められた指標疾患を発症した段階でAIDSと診断される。一方CD8陽性の細胞傷害性T細胞は、感染細胞を攻撃する側であり感染初期にはむしろ増加するため、CD4/CD8比の低下が特徴として現れる。血液・体液を扱う場面では、手指衛生と手袋の着用、器具の適切な処理といった標準予防策をすべての人に等しく適用することが基本になる。

✓ 2. これが答え(記述が誤り)
CD8+T細胞が選択的に傷害される。
傷害されるのはCD4陽性のヘルパーT細胞である。HIVのgp120はCD4分子に結合するため、CD4を持つ細胞が標的になる。CD8陽性T細胞はむしろ感染細胞を攻撃する側で、初期には増加する。
✗ 1. 記述は正しい(答えではない)
HIV ウイルス感染によって起こる。
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はRNAを遺伝子に持つレトロウイルスで、逆転写酵素でDNAを作り宿主のゲノムに組み込まれる。この感染がAIDSの原因である。
✗ 3. 記述は正しい(答えではない)
日和見感染を起こす。
細胞性免疫が低下するため、健常者では発症しない病原体が牙をむく。ニューモシスチス肺炎、食道カンジダ症、サイトメガロウイルス感染、クリプトコッカス髄膜炎、非結核性抗酸菌症などが代表。
✗ 4. 記述は正しい(答えではない)
悪性リンパ腫を合併する。
免疫監視機構が働かなくなるため、EBウイルス関連の非ホジキンリンパ腫のほか、カポジ肉腫(HHV-8)、浸潤性子宮頸癌(HPV)などの腫瘍を合併しやすい。
ポイント
  • HIVのgp120はCD4分子に結合し、CCR5/CXCR4を共受容体として侵入する。標的はCD4陽性ヘルパーT細胞。
  • ヘルパーT細胞は細胞性・液性免疫の司令塔。減ると免疫全体が破綻する。
  • CD4数200/μL付近から日和見感染・悪性腫瘍が出現し、指標疾患の発症でAIDSと診断する。
  • CD8陽性の細胞傷害性T細胞は攻撃する側。結果としてCD4/CD8比が低下する。
  • 日和見感染の代表=ニューモシスチス肺炎、カンジダ症、CMV感染、クリプトコッカス髄膜炎。腫瘍ではカポジ肉腫と悪性リンパ腫。
比較表
項目CD4陽性T細胞(ヘルパーT)CD8陽性T細胞(細胞傷害性T)
HIVとの関係gp120が結合して感染・破壊される標的感染細胞を攻撃する側。初期には増加
主な働き細胞性免疫・液性免疫の司令塔感染細胞や腫瘍細胞を直接傷害
AIDSでの動き減少(200/μL未満で日和見感染が出現)比較的保たれ、CD4/CD8比が低下
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。