学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §8 免疫異常・アレルギー / QJ29A124

理由で解く 柔道整復師

QJ29A124 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問124
問題
Ⅳ型アレルギーに分類されるのはどれか。
選択肢
1 特発性血小板減少性紫斑病
2 バセドウ (Basedow)病
3 金属アレルギー
4 花粉症
解答
正解3(金属アレルギー)
解説

Ⅳ型(遅延型)アレルギーは抗体ではなく感作Tリンパ球が主役で、抗原に触れてから反応のピークまで24〜72時間かかるのが特徴です。選択肢のうちこれに当てはまるのは3. 金属アレルギーです。

Coombs・Gell分類は「何が組織を傷つけるか」で4つに分けます。Ⅰ型はIgEと肥満細胞(数分)、Ⅱ型は細胞表面抗原に結合したIgG/IgMと補体・貪食細胞、Ⅲ型は可溶性の免疫複合体が組織に沈着して補体と好中球を呼ぶもの、そしてⅣ型だけが抗体を介さずT細胞とマクロファージが担います。Ⅰ〜Ⅲ型は抗体(体液性)なので血清を移せば反応も移せる、Ⅳ型は細胞を移さないと移せない、と整理すると混同しません。金属アレルギーでは、汗などに溶け出したニッケル・クロム・コバルトなどの金属イオンがそれ自体では抗原にならず(ハプテン)、皮膚の蛋白と結合して初めて完全抗原となります。これをランゲルハンス細胞が所属リンパ節へ運んでT細胞を感作し、再接触時に感作T細胞がサイトカインを放出してマクロファージを活性化し、1〜3日遅れて接触皮膚炎(発赤・丘疹・水疱)を起こします。ツベルクリン反応や移植片拒絶、結核の乾酪壊死・類上皮細胞肉芽腫も同じⅣ型の枠組みです。

✓ 3. 正しい
金属アレルギー
金属イオンがハプテンとして皮膚蛋白と結合し、感作Tリンパ球とマクロファージが反応する典型的なⅣ型(遅延型・細胞性免疫型)です。抗体が関与しないため、接触から発症までに24〜72時間かかり、パッチテストの判定も貼付から48時間・72時間で行います。歯科金属やピアス、ベルトのバックルで起こる接触皮膚炎がこれにあたります。柔整の現場でも、金属副子や装具のバックル、包帯止めの金具が当たる部位に数日後の発赤・かゆみが出ることがあります。
✗ 1. 誤り
特発性血小板減少性紫斑病
血小板膜の糖蛋白に対する自己抗体(IgG)が血小板に結合し、脾臓のマクロファージに貪食されて血小板が壊されます。標的細胞そのものに抗体が付いて細胞が傷害されるⅡ型(細胞傷害型)で、Ⅳ型ではありません。同じⅡ型の代表は自己免疫性溶血性貧血、不適合輸血、グッドパスチャー症候群です。
なお、細胞表面の受容体に対する自己抗体も「抗体が細胞表面抗原に結合する」という点ではすべてⅡ型の仲間で、そのうち受容体の機能を亢進(刺激)させるものだけをⅤ型(刺激型)として呼び分ける教科書があります。したがって重症筋無力症は抗アセチルコリン受容体抗体が受容体を遮断・破壊する側なのでⅡ型のまま、バセドウ病は受容体を刺激するためⅤ型として別立てされることがある、と線引きできます。
✗ 2. 誤り
バセドウ (Basedow)病
TSH受容体に対する自己抗体(TRAb)が受容体を「壊す」のではなく「刺激」し、甲状腺ホルモンが過剰産生されて甲状腺機能亢進症(頻脈・体重減少・眼球突出・甲状腺腫)を起こします。抗体が細胞表面の抗原(受容体)に結合するという点でⅡ型(細胞傷害型)の枠組みに入り、Coombs・Gellの原著どおり4分類で教える教科書では「Ⅱ型(受容体刺激型)」と記載されます。一方、機能を亢進させる特殊型を独立させる教科書では「Ⅴ型(刺激型)」と呼び分けます。どちらの分類でも抗体が主役であり、T細胞が主役のⅣ型ではないので、本問の正誤判定は変わりません。試験では「Ⅱ型はどれか」でバセドウ病が正答になることも、「Ⅴ型はどれか」で問われることもあるため、両方の呼び方で覚えておくのが安全です。
✗ 4. 誤り
花粉症
花粉抗原に対するIgEが肥満細胞・好塩基球の表面に結合しており、再曝露でヒスタミンやロイコトリエンが一気に放出されて、数分以内にくしゃみ・鼻汁・結膜充血が出ます。Ⅰ型(即時型・アナフィラキシー型)の代表で、気管支喘息、蕁麻疹、アナフィラキシーショックも同じ仲間です。反応が「速い」時点でⅣ型は除外できます。
ポイント
  • Ⅳ型=遅延型=細胞性免疫。抗体を使わず感作Tリンパ球とマクロファージが働き、ピークは24〜72時間後。
  • Ⅳ型の代表例:接触皮膚炎(金属・漆・化粧品)、ツベルクリン反応、移植片拒絶反応、結核の肉芽腫形成。
  • Ⅰ〜Ⅲ型は抗体(液性)、Ⅳ型だけ細胞性。「血清で移せるのがⅠ〜Ⅲ、細胞でしか移せないのがⅣ」と覚える。
  • 型を問われたら、選択肢ごとに「主役の分子・細胞は何か」(IgE/IgG・IgM/免疫複合体/T細胞)を先に思い出してから当てはめると迷いません。
  • バセドウ病はⅡ型でもⅤ型でも出題される:Coombs・Gellの4分類で教える教科書では「Ⅱ型(受容体刺激型)」、Ⅴ型を立てる教科書では「Ⅴ型(刺激型)」。どちらでも抗体が主役でⅣ型ではない。
  • Ⅴ型と呼ぶのは「受容体を刺激する」抗体だけ。受容体を遮断・破壊する重症筋無力症(抗アセチルコリン受容体抗体)はⅡ型。刺激=バセドウ病/遮断=重症筋無力症、と対で押さえる。
  • 金属アレルギーは金属イオンがハプテンとして体内蛋白と結合して初めて抗原になる、という点も頻出です。
比較表
別名主役反応の速さ代表疾患
Ⅰ型即時型・アナフィラキシー型IgE+肥満細胞(ヒスタミン)数分花粉症、気管支喘息、蕁麻疹、アナフィラキシーショック
Ⅱ型細胞傷害型細胞表面に結合したIgG・IgM+補体・貪食細胞数分〜数時間特発性血小板減少性紫斑病、自己免疫性溶血性貧血、不適合輸血、グッドパスチャー症候群、重症筋無力症(受容体を遮断・破壊する型)、バセドウ病(受容体刺激型。Ⅴ型として別立てする教科書もある)
Ⅲ型免疫複合体型・Arthus型可溶性免疫複合体の沈着+補体・好中球数時間急性糸球体腎炎、全身性エリテマトーデス、血清病
Ⅳ型遅延型・ツベルクリン型感作Tリンパ球+マクロファージ24〜72時間金属アレルギー(接触皮膚炎)、ツベルクリン反応、移植片拒絶
Ⅴ型刺激型(Ⅱ型の特殊型。Coombs・Gellの4分類で教える教科書ではⅡ型に含める)受容体を刺激する自己抗体(遮断するものはⅡ型のまま)持続的バセドウ病
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