学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ30A119

理由で解く 柔道整復師

QJ30A119 病理学概論

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問119
問題
脂肪肝の原因であてはまらないのはどれか。
選択肢
1 肥満
2 アルコール
3 ウイルス感染
4 薬物
解答
正解3(ウイルス感染)
解説

脂肪肝は肝細胞の中に中性脂肪が過剰にたまった状態で、肥満・アルコール・薬物・糖尿病・低栄養が代表的な原因。ウイルス感染は当てはまらないので、答えは3。

肝細胞は脂肪酸を取り込み、中性脂肪に変えてVLDLの形で血中へ送り出している。この流れのどこかが滞ると脂肪滴が肝細胞内にたまる。機序は三つに整理できる。第一に脂肪酸の流入が増える場合(肥満、糖尿病、飢餓時の脂肪動員)。第二に中性脂肪の合成が亢進し脂肪酸の酸化が落ちる場合で、アルコール代謝でNADHが過剰になるのが典型。第三にVLDLとして搬出できない場合で、アポ蛋白の材料が足りない低栄養(クワシオルコル)や四塩化炭素・一部の薬物がこれにあたる。一方、ウイルス性肝炎の本態は肝細胞の変性・壊死と炎症細胞浸潤であり、進行すれば線維化から肝硬変・肝細胞癌へ向かうが、脂肪の蓄積が主役ではない。近年は飲酒歴のない脂肪性肝疾患(NAFLD/NASH)が増えており、体重管理と節酒、原因薬物の見直しを主治医と相談することが実際の対応になる。

✓ 3. これが答え(あてはまらない)
ウイルス感染
ウイルス性肝炎で起こるのは肝細胞の変性・壊死と炎症、そしてその後の線維化であって、脂肪滴の過剰蓄積ではない。脂肪肝の代表的原因には数えられないため、これが設問の答えになる。
✗ 1. あてはまる(答えではない)
肥満
脂肪組織から遊離脂肪酸が大量に肝へ流入し、インスリン抵抗性も加わって中性脂肪がたまる。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の中心的な原因。
✗ 2. あてはまる(答えではない)
アルコール
アルコール代謝でNADHが増えて脂肪酸の酸化が抑えられ、中性脂肪の合成が進む。アルコール性肝障害はまず脂肪肝として現れ、肝炎・肝硬変へ進み得る。
✗ 4. あてはまる(答えではない)
薬物
テトラサイクリン、副腎皮質ステロイド、バルプロ酸、メトトレキサートなどが脂肪肝を起こすことが知られる。四塩化炭素のような肝毒性物質も同様。
ポイント
  • 脂肪肝=肝細胞内への中性脂肪の過剰蓄積。肝腫大するが自覚症状は乏しい。
  • 機序は「流入増加」「合成亢進・酸化低下」「VLDLとしての搬出障害」の3系統で整理する。
  • 代表原因は肥満・糖尿病・アルコール・薬物・低栄養(クワシオルコル)・妊娠。
  • ウイルス性肝炎の本態は変性・壊死と炎症で、脂肪蓄積が主体ではない。
  • 脂肪肝の段階は可逆的。原因を取り除けば戻り得るので、体重管理・節酒・薬剤の見直しが具体策になる。
比較表
機序代表的な原因
脂肪酸の肝への流入増加肥満、糖尿病、飢餓時の脂肪動員
中性脂肪の合成亢進・脂肪酸酸化の低下アルコール
VLDLとしての搬出障害低栄養(クワシオルコル)、四塩化炭素、薬物
当てはまらないものウイルス性肝炎(変性・壊死と炎症、線維化が本態)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。