学習トップ理由で解く 柔道整復師病理学概論 ▸ §4 退行性病変・代謝障害 / QJ29A119

理由で解く 柔道整復師

QJ29A119 病理学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問119
問題
閉塞性黄疸の原因はどれか。
選択肢
1 十二指腸乳頭部癌
2 溶血性貧血
3 胎児赤芽球症
4 ウイルス性肝炎
解答
正解1(十二指腸乳頭部癌)
解説

黄疸は「胆汁の流れのどこでつまずいたか」で3つに分ける。閉塞性(肝後性)は肝外胆管の通り道が塞がれた場合で、十二指腸乳頭部癌がこれに当たる。

ビリルビンは寿命を終えた赤血球のヘモグロビン由来で、血中では間接(非抱合型)ビリルビンとして運ばれ、肝細胞に取り込まれてグルクロン酸抱合を受け、水溶性の直接(抱合型)ビリルビンとなって胆汁中に排泄される。胆汁は肝内胆管から総胆管を通り、十二指腸乳頭(Vater乳頭)で腸管へ流れ出る。この最終出口である乳頭部に癌ができると胆汁が腸へ出られず、逆流して血中の直接ビリルビンが上昇する。腸に胆汁色素が届かないので便は灰白色になり、一方で水溶性の直接ビリルビンは尿へ出るため濃い褐色尿となる。胆汁酸が皮膚に沈着して強い掻痒感を伴うのも閉塞性の特徴で、痛みを伴わずに黄疸が進む「無痛性黄疸」は膵頭部癌・乳頭部癌を疑う重要なサインとして知られる。

✓ 1. 正しい
十二指腸乳頭部癌
総胆管と主膵管が合流して十二指腸に開く乳頭部に生じる癌。胆汁の出口が機械的に閉塞されるため肝後性(閉塞性)黄疸を来し、直接ビリルビン優位の上昇、灰白色便、濃褐色尿、皮膚掻痒感がそろう。
✗ 2. 誤り
溶血性貧血
赤血球の破壊が亢進してビリルビン産生が肝の処理能力を上回る肝前性黄疸。抱合前の間接ビリルビンが優位で、胆汁は腸へ流れるため便はむしろ濃くなり、灰白色便にはならない。
✗ 3. 誤り
胎児赤芽球症
Rh式などの血液型不適合で母体由来の抗体が胎児赤血球を破壊する重症溶血性疾患。これも肝前性で、新生児では間接ビリルビンが血液脳関門を越えて核黄疸を起こす危険があり、光線療法などの早期対応が必要になる。
✗ 4. 誤り
ウイルス性肝炎
肝細胞が障害されてビリルビンの取り込み・抱合・排泄が同時に低下する肝性(肝細胞性)黄疸。直接・間接の両方が上昇し、AST・ALTの著明な上昇を伴う点で閉塞性と区別できる。
ポイント
  • 黄疸は肝前性(溶血性)・肝性(肝細胞性)・肝後性(閉塞性)の3分類でとらえる。
  • 肝前性は間接ビリルビン優位、肝後性は直接ビリルビン優位、肝性は両方が上昇する。
  • 閉塞性黄疸の三徴:灰白色便・濃い褐色尿・皮膚掻痒感。
  • 閉塞の原因:総胆管結石、膵頭部癌、十二指腸乳頭部癌、胆管癌。無痛性黄疸は悪性を疑う。
  • 新生児の高間接ビリルビン血症は核黄疸(大脳基底核の障害)につながるため、早期の光線療法などが行われる。
比較表
分類障害部位優位なビリルビン便・尿代表疾患
肝前性(溶血性)赤血球の過剰破壊間接(非抱合型)便は濃色、尿中ビリルビン陰性溶血性貧血、胎児赤芽球症
肝性(肝細胞性)肝細胞の処理能力低下直接・間接の両方やや淡色便、尿は濃色ウイルス性肝炎、肝硬変
肝後性(閉塞性)肝外胆管の閉塞直接(抱合型)灰白色便、濃褐色尿十二指腸乳頭部癌、膵頭部癌、総胆管結石
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