学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ30A108

理由で解く 柔道整復師

QJ30A108 運動学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問108
問題
示指の運動と筋の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 MP 関節伸展-虫様筋
2 DIP 関節屈曲-浅指屈筋
3 PIP関節屈曲-掌側骨間筋
4 MP 関節外転-背側骨間筋
解答
正解4(MP 関節外転-背側骨間筋)
解説

指の運動は「その筋がどの骨のどこに止まるか」で決まります。示指のMP関節外転を担うのは背側骨間筋で、4が正しい組合せです。

指を動かす筋は、前腕から長い腱を送り込む外在筋と、手のなかで完結する内在筋に分かれます。外在筋のうち浅指屈筋は中節骨底に停止するのでPIP関節を屈曲し、深指屈筋は末節骨底まで届くのでDIP関節を屈曲します。伸展側ではMP関節を伸ばすのが総指伸筋と示指伸筋(橈骨神経(深枝=後骨間神経))です。一方、内在筋である虫様筋と骨間筋はMP関節の運動軸の掌側を通って指背腱膜(腱帽)に停止するため、MP関節を屈曲しながらPIP・DIP関節を伸展させます(いわゆる内在筋プラス肢位)。さらに骨間筋には左右方向の作用があり、背側骨間筋は中指の軸から指を離す外転、掌側骨間筋は中指の軸へ寄せる内転を行います。示指のMP外転は第1背側骨間筋(尺骨神経支配)の仕事です。

✓ 4. 正しい
MP 関節外転-背側骨間筋
背側骨間筋は隣り合う中手骨の間から二頭で起こり、基節骨底と指背腱膜に停止します。作用線が中手骨の外側寄りを通るため、中指の軸から指を遠ざける外転を生みます。示指では第1背側骨間筋が母指側へ指を開く動きをつくります。「DAB=Dorsal ABduct(背側は外転)」で覚えると迷いません。なお背側骨間筋は虫様筋と同じく指背腱膜にも付くので、MP屈曲+IP伸展の作用も併せもちます。
✗ 1. 誤り
MP 関節伸展-虫様筋
虫様筋は深指屈筋腱から起こり、指背腱膜に停止します。MP関節の掌側を通るため作用はMP関節屈曲であり、伸展ではありません(そこから先の指背腱膜を引くのでPIP・DIP関節は伸展します)。示指のMP関節を伸展させるのは総指伸筋と示指伸筋です。「MP関節屈曲-虫様筋」と読み替えれば正しい組合せになります。
✗ 2. 誤り
DIP 関節屈曲-浅指屈筋
浅指屈筋の腱は二裂して中節骨底に停止するので、動かせるのはPIP関節までです。DIP関節を屈曲させるのは、浅指屈筋腱の裂け目を通り抜けて末節骨底に停止する深指屈筋(示指側は前骨間神経支配)です。停止部より遠位の関節は動かせない、という原則で整理すると確実です。実技でも、PIP単独屈曲は浅指屈筋、DIPを曲げられるかは深指屈筋のテストになります。
✗ 3. 誤り
PIP関節屈曲-掌側骨間筋
掌側骨間筋も指背腱膜に停止するため、PIP関節に対する作用は屈曲ではなく伸展です。固有の作用は中指の軸へ指を寄せる内転で、「PAD=Palmar ADduct(掌側は内転)」と押さえます。示指を中指側へ寄せるのは第1掌側骨間筋です。PIP関節屈曲を答えにするなら浅指屈筋を組み合わせます。
ポイント
  • 停止部で担当関節が決まる。浅指屈筋=中節骨底→PIP関節屈曲、深指屈筋=末節骨底→DIP関節屈曲。
  • 虫様筋・骨間筋は指背腱膜に停止し、MP関節屈曲+PIP・DIP関節伸展(内在筋プラス肢位)をつくる。
  • DAB/PAD。背側骨間筋=外転、掌側骨間筋=内転で、基準線はいずれも中指の軸。
  • 示指のMP関節伸展は総指伸筋・示指伸筋が担当し、支配神経は橈骨神経(深枝=後骨間神経)。
  • 神経支配は、骨間筋と第3・4虫様筋が尺骨神経、第1・2虫様筋が正中神経。示指の外転(第1背側骨間筋)は尺骨神経麻痺で弱くなる。
比較表
停止示指への主作用神経支配
総指伸筋・示指伸筋指背腱膜〜中節骨・末節骨底MP関節伸展(IP関節伸展にも関与)橈骨神経(深枝=後骨間神経)
浅指屈筋中節骨底PIP関節屈曲正中神経
深指屈筋(橈側半)末節骨底DIP関節屈曲正中神経(前骨間神経)
虫様筋(第1)指背腱膜MP関節屈曲+PIP・DIP関節伸展正中神経
背側骨間筋(第1)基節骨底・指背腱膜MP関節外転(+MP屈曲・IP伸展)尺骨神経
掌側骨間筋(第1)基節骨底・指背腱膜MP関節内転(+MP屈曲・IP伸展)尺骨神経
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