学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ30A107
理由で解く 柔道整復師
肩甲骨の上方回旋は、僧帽筋上部・僧帽筋下部・前鋸筋下部が引き合うフォースカップルで起こります。選択肢の中で上方回旋に働くのは前鋸筋です。
上方回旋とは、関節窩が上を向くように肩甲骨が回る動きで、肩を90度以上挙げるときに欠かせません。上腕骨の動きだけでは挙上は完結せず、肩甲上腕リズム(およそ2:1)に従って肩甲骨が上方回旋して初めて180度まで届きます。前鋸筋は肋骨の外側面から起こって肩甲骨内側縁の前面(とくに下角)に停止するため、下角を前外方へ引き出す形で上方回旋を作ります。同時に僧帽筋上部が鎖骨外側部・肩峰を上内方へ、僧帽筋下部が肩甲棘内側端を下内方へ引き、3つの力の組合せで純粋な回転が成立します。ここで僧帽筋の停止は部位ごとに異なり、上部(下行部)は鎖骨外側1/3、中部(横行部)は肩峰と肩甲棘、下部(上行部)は肩甲棘内側端につくという区別が重要です。前鋸筋は長胸神経支配で、麻痺すると肩甲骨内側縁が浮き上がる翼状肩甲を呈し、上肢の挙上が制限されます。施術では肩挙上制限をみたとき、肩関節だけでなく肩甲骨の上方回旋が出ているかを必ず確認し、前鋸筋・僧帽筋下部の働きを促す運動を組み込むのが有効です。
| 筋 | 停止 | 肩甲骨への主な作用 | 支配神経 |
|---|---|---|---|
| 前鋸筋 | 肩甲骨内側縁の前面(とくに下角) | 外転(前方突出)・上方回旋・胸郭への固定 | 長胸神経 |
| 僧帽筋上部(下行部) | 鎖骨外側1/3 | 挙上・上方回旋 | 副神経・頸神経叢 |
| 僧帽筋中部(横行部) | 肩峰・肩甲棘 | 内転(後退) | 副神経・頸神経叢 |
| 僧帽筋下部(上行部) | 肩甲棘内側端 | 下制・上方回旋 | 副神経・頸神経叢 |
| 肩甲挙筋 | 肩甲骨上角 | 挙上・下方回旋 | 肩甲背神経 |
| 菱形筋 | 肩甲骨内側縁 | 内転・挙上・下方回旋 | 肩甲背神経 |
| 小胸筋 | 烏口突起 | 下制・前傾・下方回旋 | 内側・外側胸筋神経 |
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