学習トップ理由で解く 柔道整復師運動学 ▸ §4 頭・頸部、四肢と体幹の運動(筋の作用および神経支配を含む) / QJ29A111

理由で解く 柔道整復師

QJ29A111 運動学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午前 問111
問題
嗅ぎたばこ入れを生じるのはどれか。
選択肢
1 橈側手根屈筋腱
2 長橈側手根伸筋腱
3 長母指伸筋腱
4 総指伸筋腱
解答
正解3(長母指伸筋腱)
解説

解剖学的嗅ぎたばこ入れ(スナッフボックス)の尺側の縁をつくるのは長母指伸筋腱である。橈側の縁は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱がつくる。

母指を伸展・外転させると、手関節の橈側背面に三角形のくぼみが現れる。これが嗅ぎたばこ入れで、橈側の縁は長母指外転筋腱と短母指伸筋腱、尺側の縁は長母指伸筋腱の3本の腱が母指の付け根に向かって収束することで形づくられる。くぼみの底には近位から舟状骨と大菱形骨があり、橈骨動脈がここを斜めに横切って手背へ抜けるため、脈拍を触れることもできる。臨床上重要なのは、このくぼみに限局した圧痛が舟状骨骨折を示唆する点である。舟状骨骨折は受傷直後のX線では写らないことがあるため、圧痛がある場合は骨折に準じた固定を行ったうえで、日を置いた再撮影やCT・MRIなど追加の画像評価につなげる対応をとる。

✓ 3. 正しい
長母指伸筋腱
くぼみの尺側の縁をつくる腱。橈側の長母指外転筋腱・短母指伸筋腱とともに三角形のくぼみを形成する。
✗ 1. 誤り
橈側手根屈筋腱
前腕の掌側を走って第2中手骨底に停止する屈筋腱で、手背にあるくぼみの形成には関与しない。
✗ 2. 誤り
長橈側手根伸筋腱
短橈側手根伸筋腱とともにくぼみの底を横切って走るが、境界(縁)をつくる腱ではない。
✗ 4. 誤り
総指伸筋腱
第2〜5指へ向かい手背の中央部を走る腱で、母指の付け根にできるくぼみの境界には関与しない。
ポイント
  • 橈側縁=長母指外転筋腱+短母指伸筋腱、尺側縁=長母指伸筋腱。この3本で三角形ができる。
  • 底にあるのは舟状骨と大菱形骨。長・短橈側手根伸筋腱は底を横切るだけで縁はつくらない。
  • 橈骨動脈がくぼみを斜めに横切って手背へ入る。
  • 限局した圧痛は舟状骨骨折を疑う所見。初期X線陰性でも否定せず、固定のうえ再評価につなげる。
  • 母指を伸展・外転させるとくぼみがはっきりし、触診しやすくなる。
比較表
部位構成する構造
橈側縁長母指外転筋腱・短母指伸筋腱
尺側縁長母指伸筋腱
底(床)舟状骨・大菱形骨(長・短橈側手根伸筋腱が横切る)
通過する血管橈骨動脈
圧痛の臨床的意味舟状骨骨折を疑う
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