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理由で解く 柔道整復師

QJ30A105 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問105
問題
持久能の運動トレーニングで増加しないのはどれか。
選択肢
1 最大心拍数
2 最大心拍出量
3 最大酸素摂取量
4 最大動静脈酸素較差
解答
正解1(最大心拍数)
解説

この設問は「増加しないのはどれか」と問う否定形である。最大心拍数はおおむね年齢で決まり、持久性トレーニングを積んでも上がらない。したがって答えは1。

持久能の指標である最大酸素摂取量は、Fickの原理から「最大心拍出量 × 最大動静脈酸素較差」と表せる。持久性トレーニングを続けると、心室腔が拡大して1回拍出量が増えるため最大心拍出量が増加し(いわゆるスポーツ心臓)、骨格筋側では毛細血管密度・ミトコンドリア数・酸化系酵素・ミオグロビンが増えて血液から酸素を取り出す能力が高まるため最大動静脈酸素較差も広がる。この2つが増える結果として最大酸素摂取量が増加する。一方、最大心拍数は洞房結節の性質と加齢でほぼ決まり(目安としておよそ220−年齢)、トレーニングでは増加しない。むしろ1回拍出量が増えた分、安静時や同一強度の運動時の心拍数は低下する(徐脈)。「心拍数を上げて稼ぐ」のではなく「1回の拍出量と筋の酸素取り出し能力で稼ぐ」体に変わる、と理解すると混乱しない。

✓ 1. 増加しない(これが答え)
最大心拍数
最大心拍数は主に年齢によって規定され、持久性トレーニングによって増加しない(長期の鍛錬者ではわずかに低下する場合もある)。トレーニングで変化するのは、安静時心拍数の低下と、同じ運動強度での心拍数の低下のほうである。
✗ 2. 増加する(答えではない)
最大心拍出量
心室腔の拡大と心筋収縮力の向上により1回拍出量が増えるため、最大心拍出量は増加する。心拍出量=1回拍出量×心拍数のうち、増えるのは1回拍出量の側である。
✗ 3. 増加する(答えではない)
最大酸素摂取量
最大心拍出量と最大動静脈酸素較差がともに増えるため、その積である最大酸素摂取量も増加する。持久能の指標そのものであり、トレーニング効果が最も端的に表れる項目である。
✗ 4. 増加する(答えではない)
最大動静脈酸素較差
骨格筋の毛細血管密度・ミトコンドリア数・酸化系酵素活性・ミオグロビンが増え、組織が血液からより多くの酸素を取り出せるようになるため、動脈血と静脈血の酸素含量の差は大きくなる。末梢(筋)側の適応を表す指標である。
ポイント
  • 最大酸素摂取量 = 最大心拍出量 × 最大動静脈酸素較差(Fickの原理)。持久トレーニングでは右辺の2つがともに増える。
  • 最大心拍数は年齢でほぼ決まり、トレーニングで増加しない。目安はおよそ220−年齢。
  • 心拍出量=1回拍出量×心拍数。持久トレーニングで増えるのは1回拍出量。その結果、安静時心拍数はむしろ低下する(スポーツ心臓・徐脈)。
  • 骨格筋側の適応:毛細血管密度↑、ミトコンドリア↑、酸化系酵素↑、ミオグロビン↑ → 動静脈酸素較差↑。
  • 循環血液量は増えるが血漿量の増加が赤血球量の増加を上回るため、ヘマトクリットは見かけ上下がる(スポーツ貧血)。
比較表
項目持久性トレーニングによる変化理由
最大酸素摂取量増加最大心拍出量と動静脈酸素較差の増加の積
最大心拍出量増加心室腔拡大による1回拍出量の増加
1回拍出量(安静時・最大時)増加心室腔拡大・収縮力向上
最大動静脈酸素較差増加筋の毛細血管・ミトコンドリア・酸化系酵素の増加
最大心拍数変わらない(不変〜わずかに低下)主に年齢で規定される
安静時心拍数低下1回拍出量が増えた分、回数が要らなくなる
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