学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ30A097

理由で解く 柔道整復師

QJ30A097 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問97
問題
呼吸筋の仕事量を増大させる因子の組合せはどれか。
選択肢
1 肺コンプライアンスの増加 一・気道抵抗の増加
2 肺コンプライアンスの増加 一・気道抵抗の低下
3 肺コンプライアンスの低下-気道抵抗の増加
4 肺コンプライアンスの低下一・気道抵抗の低下
解答
正解3(肺コンプライアンスの低下-気道抵抗の増加)
解説

呼吸の仕事は「膨らみにくい肺」と「空気が通りにくい気道」で増えます。したがって肺コンプライアンスの低下と気道抵抗の増加が組み合わさった 3 が答えです。

呼吸筋の仕事量は、肺と胸郭を広げるための弾性仕事と、気道を空気が流れるときの抵抗に打ち勝つ粘性(抵抗)仕事の和です。肺コンプライアンス(ΔV/ΔP)は肺の膨らみやすさを表し、肺線維症・肺うっ血・無気肺・サーファクタント不足などで低下すると、同じ量の空気を入れるのに大きな圧が必要になり弾性仕事が増えます。気道抵抗は気管支喘息や気道分泌物、気道の狭窄で増加し、同じ流量を得るのにより大きな圧較差が要るため粘性仕事が増えます。この 2 つがそろって増える組合せは 3 だけです。なお肺気腫では逆にコンプライアンスは増加しますが、呼気時に末梢気道が虚脱して抵抗が著しく上がり、呼気の仕事が増えるという別の形をとります。

✓ 3. 正しい
肺コンプライアンスの低下-気道抵抗の増加
硬い肺を広げる弾性仕事と、狭い気道に空気を通す粘性仕事の両方が増えるため、呼吸筋の仕事量は最も大きくなります。コンプライアンス低下だけなら浅く速い呼吸が、気道抵抗増加だけなら深くゆっくりした呼吸が仕事量を小さくしますが、両方が重なるとどちらにも振り切れず、どの呼吸型でも仕事量が大きいまま呼吸補助筋が動員されます。
✗ 1. 誤り
肺コンプライアンスの増加 一・気道抵抗の増加
気道抵抗の増加は仕事を増やしますが、コンプライアンスの増加は肺が膨らみやすくなることを意味し、吸気の弾性仕事はむしろ減ります。両方が増大方向の組合せではありません。
✗ 2. 誤り
肺コンプライアンスの増加 一・気道抵抗の低下
膨らみやすい肺と通りやすい気道の組合せで、どちらも呼吸仕事量を減らす方向です。問われている向きと正反対になります。
✗ 4. 誤り
肺コンプライアンスの低下一・気道抵抗の低下
コンプライアンス低下は弾性仕事を増やしますが、気道抵抗の低下は粘性仕事を減らします。増大因子が片方だけなので、3 には及びません。
ポイント
  • 呼吸仕事量=弾性仕事(肺を広げる)+粘性仕事(気道に空気を通す)。
  • コンプライアンス=ΔV/ΔP。低いほど硬い肺で、広げるのに大きな圧が要る。
  • 仕事量を最小にする呼吸型は逆向き:拘束性(コンプライアンス低下)=浅く速い、閉塞性(気道抵抗増加)=深くゆっくり。
  • コンプライアンス低下:肺線維症、肺うっ血、無気肺、サーファクタント不足。
  • 気道抵抗増加:気管支喘息、気道分泌物、気道の狭窄。
  • 肺気腫はコンプライアンス増加だが、呼気時の気道虚脱で抵抗が増え呼気仕事が増える。
比較表
要素変化呼吸仕事量仕事量が小さくなる呼吸型代表的な病態
肺コンプライアンス低下増加(弾性仕事↑)浅く速い呼吸肺線維症、肺うっ血、無気肺
肺コンプライアンス増加吸気の弾性仕事は減少肺気腫
気道抵抗増加増加(粘性仕事↑)深くゆっくりした呼吸気管支喘息、COPD、分泌物貯留
気道抵抗低下減少気管支拡張薬使用時
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