学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §4 呼吸 / QJ30A081

理由で解く 柔道整復師

QJ30A081 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問81
問題
酸塩基平衡で二酸化炭素の体外への排出低下によって起こるのはどれか。
選択肢
1 呼吸性アシドーシス
2 呼吸性アルカローシス
3 代謝性アシドーシス
4 代謝性アルカローシス
解答
正解1(呼吸性アシドーシス)
解説

二酸化炭素(CO₂)が体外に出ていかないと血液中に酸が溜まるので、答えは呼吸性アシドーシスです。「肺の問題で酸が増えた」と読み替えれば一発で決まります。

血液中では CO₂ + H₂O ⇄ H₂CO₃ ⇄ H⁺ + HCO₃⁻ という平衡が成り立っています。換気が落ちて CO₂ の排出が減ると、この反応が右に進んで H⁺ が増え、pH が下がります。酸塩基平衡の異常は「一次的に動いたのが PaCO₂ か HCO₃⁻ か」で呼吸性・代謝性に分かれ、「pH が下がるか上がるか」でアシドーシス・アルカローシスに分かれます。本問は PaCO₂ が上がって pH が下がる組合せなので呼吸性アシドーシスです。なお腎臓が HCO₃⁻ の再吸収を増やして pH を戻そうとする働きが代償性変化で、数日かけて効いてきます。

✓ 1. 正しい
呼吸性アシドーシス
肺胞低換気で CO₂ が体内に貯留すると炭酸を経て H⁺ が増え、pH が低下します。COPD の増悪、呼吸中枢の抑制(麻薬・鎮静薬)、重症筋無力症などの呼吸筋の障害、気道閉塞などが原因になります。臨床では換気量を確保すること(気道確保・換気補助)が対応の柱です。
✗ 2. 誤り
呼吸性アルカローシス
これは逆に CO₂ を吐き過ぎた状態です。過換気症候群、高地での低酸素刺激、発熱や疼痛による頻呼吸などで PaCO₂ が下がり pH が上がります。本問は「排出低下」なので方向が反対です。
✗ 3. 誤り
代謝性アシドーシス
pH が下がる点は同じですが、一次的な原因は HCO₃⁻ の減少または不揮発酸の蓄積です。乳酸アシドーシス、糖尿病性ケトアシドーシス、腎不全、下痢による HCO₃⁻ の喪失などが該当します。CO₂ の排出低下が原因のときは「呼吸性」と呼びます。
✗ 4. 誤り
代謝性アルカローシス
HCO₃⁻ が増える、あるいは酸が失われた状態で、嘔吐による胃酸の喪失、利尿薬の使用などで起こります。CO₂ 貯留とは原因も pH の向きも一致しません。
ポイント
  • CO₂ は「気体の酸」。溜まれば酸性、吐き過ぎればアルカリ性と覚える。
  • 呼吸性か代謝性かは一次変化が PaCO₂ か HCO₃⁻ かで決まる。
  • PaCO₂ 上昇 → H⁺ 増加 → pH 低下 = 呼吸性アシドーシス。
  • 呼吸性の異常は腎(HCO₃⁻ 調節)が、代謝性の異常は肺(換気量)が代償する。
  • 低換気を招く病態(COPD 増悪、鎮静、気道閉塞)を CO₂ 貯留と結び付けて覚える。
比較表
病態一次変化pH代表的な原因代償
呼吸性アシドーシスPaCO₂ 上昇低下肺胞低換気(COPD 増悪、鎮静薬、気道閉塞)腎で HCO₃⁻ 再吸収を増やす
呼吸性アルカローシスPaCO₂ 低下上昇過換気、高地、発熱・疼痛腎で HCO₃⁻ 排泄を増やす
代謝性アシドーシスHCO₃⁻ 低下低下乳酸、ケトン体、腎不全、下痢換気を増やし CO₂ を排出
代謝性アルカローシスHCO₃⁻ 上昇上昇嘔吐、利尿薬換気を減らし CO₂ を保持
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