学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §12 神経 / QJ30A086

理由で解く 柔道整復師

QJ30A086 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問86
問題
小脳損傷で起こるのはどれか。
選択肢
1 推尺異常
2 仮面様顔貌
3 静止時振戦
4 バビンスキー反射
解答
正解1(推尺異常)
解説

小脳は運動の量とタイミングを調節する器官なので、損傷すると目標までの距離を測り損ねる推尺異常(測定障害)が出ます。他の 3 つは大脳基底核あるいは錐体路の症状です。

小脳は大脳からの運動指令のコピーと、筋紡錘・腱器官・前庭からの実際の運動情報を照合し、ずれを補正して滑らかな運動を作ります。この補正が働かないと、指鼻試験で指が目標を行き過ぎたり手前で止まったりする推尺異常、目標に近づくほど揺れが増す企図振戦、手の回内・回外を素早く切り替えられない変換運動障害(拮抗反復運動不能)、断綴性言語、眼振、筋緊張低下、失調性歩行などが現れます。一方、静止時振戦や仮面様顔貌は黒質線条体ドパミン系の障害(パーキンソン病)の症状で、バビンスキー反射は錐体路障害の病的反射です。「揺れが動作中に出れば小脳、じっとしているときに出れば基底核」と対比して覚えると確実です。

✓ 1. 正しい
推尺異常
運動の距離・力・速度を適切に見積もれなくなる小脳症状です。指鼻試験や踵膝試験で目標を通り越す(測定過大)などの形で確認します。
✗ 2. 誤り
仮面様顔貌
表情筋の動きが乏しくなる状態で、パーキンソン病でみられます。大脳基底核(黒質線条体ドパミン系)の障害による症状で、小脳症状ではありません。
✗ 3. 誤り
静止時振戦
安静時に出て随意運動で軽減する振戦で、パーキンソン病に特徴的です。小脳障害でみられるのは、目標に近づくにつれて強くなる企図振戦です。
✗ 4. 誤り
バビンスキー反射
足底の外側をこすると母趾が背屈する病的反射で、皮質脊髄路(錐体路)の障害を示します。小脳の障害では通常みられません。
ポイント
  • 小脳=運動の「補正装置」。損傷で運動失調・推尺異常・企図振戦・変換運動障害。
  • 企図振戦(動かすと出る)=小脳、静止時振戦(じっとしていると出る)=パーキンソン病。
  • 小脳障害では筋緊張は低下する(錐体路障害の痙縮とは逆)。
  • バビンスキー反射などの病的反射は錐体路障害のサイン。
  • 小脳症状は障害側と同側に出る(下行路が二重交叉するため)。
比較表
障害部位代表症状振戦の型筋緊張
小脳推尺異常、変換運動障害、失調性歩行、断綴性言語企図振戦低下
大脳基底核仮面様顔貌、無動、固縮、姿勢反射障害静止時振戦固縮(歯車様・鉛管様)
錐体路痙性麻痺、腱反射亢進、バビンスキー反射なし亢進(痙縮)
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