学習トップ理由で解く 柔道整復師生理学 ▸ §6 栄養と代謝 / QJ30A083

理由で解く 柔道整復師

QJ30A083 生理学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問83
問題
強度の運動を続けると筋肉で増加するのはどれか。
選択肢
1 乳酸
2 グルコース
3 グリコーゲン
4 クレアチンリン酸
解答
正解1(乳酸)
解説

強い運動を続けると酸素供給が需要に追いつかず、解糖系が主役になってピルビン酸が乳酸へ変わるため、増えるのは乳酸です。他の 3 つはいずれも「使われて減る側」の物質です。

筋の ATP 供給には、クレアチンリン酸から素早く ATP を再合成する系、グリコーゲンやグルコースを無酸素的に分解する解糖系、ミトコンドリアでの酸化的リン酸化の 3 つがあります。運動強度が上がると酸素を使う系だけでは間に合わず、解糖系の比重が増します。解糖系を回し続けるには NADH を NAD⁺ に戻す必要があり、その受け皿として乳酸脱水素酵素がピルビン酸を乳酸へ還元します。生じた乳酸は筋内に蓄積するとともに血中へ出て、肝臓でグルコースに再生されます(コリ回路)。この間、燃料であるグリコーゲンとクレアチンリン酸は消費されて減っていきます。

✓ 1. 正しい
乳酸
解糖系が優位になるとピルビン酸が乳酸へ還元され、筋内および血中で増加します。持久的トレーニングでは乳酸の処理能力が上がるため、同じ強度での蓄積が抑えられます。
✗ 2. 誤り
グルコース
運動筋では GLUT4 を介した取り込みと解糖が亢進するため、筋内のグルコースは消費される側です。エネルギー源として使われるものが運動で増えると考えると筋が通りません。
✗ 3. 誤り
グリコーゲン
筋グリコーゲンは高強度運動の主要な燃料で、分解されて減少します。増えるのは運動後の回復期に糖質を補給したときで、運動中ではありません。
✗ 4. 誤り
クレアチンリン酸
クレアチンリン酸は運動開始直後の数秒~十数秒で ATP を再合成するために急速に消費され、減少します。回復期に酸化的リン酸化で得た ATP から再補充されます。
ポイント
  • 高強度運動 → 解糖系が優位 → ピルビン酸が乳酸へ → 乳酸が増える。
  • 乳酸生成は NADH を NAD⁺ に戻して解糖系を回し続けるための反応。
  • グリコーゲン・クレアチンリン酸・グルコースは「燃料」なので運動中は減る。
  • 乳酸は肝でグルコースに戻る(コリ回路)。老廃物というより再利用される中間体。
  • 供給系は「持続時間」で整理する:ATP-CP 系 → 解糖系 → 有酸素系。
比較表
供給系酸素主な基質持続の目安産物
ATP-クレアチンリン酸系不要クレアチンリン酸数秒~十数秒クレアチン
解糖系不要グリコーゲン・グルコース数十秒~数分乳酸
酸化的リン酸化必要糖・脂肪酸長時間CO₂・H₂O
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。