学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ30A076

理由で解く 柔道整復師

QJ30A076 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問76
問題
外肛門括約筋の支配神経はどれか。
選択肢
1 骨盤内臓神経
2 上直腸神経
3 下直腸神経
4 会陰神経
解答
正解3(下直腸神経)
解説

外肛門括約筋は横紋筋で、陰部神経(S2〜S4)の枝である下直腸神経に支配される。正答は3。

肛門の締まりは二重構造で保たれている。内肛門括約筋は直腸の輪走平滑筋が肛門部で肥厚したもので、交感神経(下腹神経)で収縮し骨盤内臓神経(副交感)で弛緩する不随意筋である。これに対して外肛門括約筋は骨盤底の横紋筋群に属し、随意に締めたり緩めたりできる。支配するのは陰部神経で、陰部神経はS2〜S4の前枝から起こり、梨状筋下孔を出ていったん骨盤外へ出たあと小坐骨孔から会陰へ入り、閉鎖筋膜がつくる陰部管(Alcock管)の中で下直腸神経・会陰神経・陰茎(陰核)背神経に分かれる。このうち最初に分かれる下直腸神経が外肛門括約筋と肛門周囲の皮膚を担当する。排便のしくみは「内括約筋は自律神経が自動で緩め、外括約筋は本人が意識して我慢する」と整理すると、支配神経の違いがそのまま機能の違いとして理解できる。

✓ 3. 正しい
下直腸神経
陰部神経が陰部管に入って最初に出す枝で、外肛門括約筋(横紋筋)と肛門周囲の皮膚を支配する。随意筋には体性運動神経が要る、という原則から逆算すれば、自律神経の肢は自動的に外れる。肛門反射(肛門周囲の皮膚をこすると外肛門括約筋が収縮する)の求心路・遠心路もこの神経である。
✗ 1. 誤り
骨盤内臓神経
S2〜S4から出る副交感性の神経で、直腸壁の平滑筋を収縮させ内肛門括約筋を弛緩させて排便を進める。自律神経なので横紋筋である外肛門括約筋は動かせない。同じS2〜S4でも、体性成分(陰部神経)と自律成分(骨盤内臓神経)を分けて覚えるのがコツである。
✗ 2. 誤り
上直腸神経
「上直腸動脈」は下腸間膜動脈の終枝として実在するが、この名称の体性神経は通常立てない。血管名と神経名は同じ呼び名が多いだけに、神経の名前は「その叢のどの枝か」まで言えるかで確認するとよい。直腸上部の知覚・自律支配は下腸間膜神経叢や下下腹神経叢が担う。
✗ 4. 誤り
会陰神経
下直腸神経と同じ陰部神経の枝だが、担当は会陰部の筋(球海綿体筋・坐骨海綿体筋・深会陰横筋・外尿道括約筋など)と陰嚢(大陰唇)の皮膚である。陰部神経の3枝は「後ろから前へ、下直腸神経→会陰神経→陰茎(陰核)背神経」と並ぶ順で覚えると、担当区域を取り違えにくい。
ポイント
  • 外肛門括約筋=横紋筋、陰部神経の枝である下直腸神経(S2〜S4)が支配、随意に収縮できる。
  • 内肛門括約筋=平滑筋、交感神経(下腹神経)で収縮・副交感神経(骨盤内臓神経)で弛緩、不随意。
  • 陰部神経の3枝は後方から順に、下直腸神経・会陰神経・陰茎(陰核)背神経。陰部管(Alcock管)内で分かれる。
  • 陰部神経は梨状筋下孔を出て小坐骨孔から会陰へ入る、といったん骨盤の外へ出る走行が特徴。
  • 「随意筋なら体性運動神経、不随意筋なら自律神経」の原則で選択肢を絞る。
比較表
項目内肛門括約筋外肛門括約筋
筋の種類平滑筋(直腸輪走筋の肥厚)横紋筋(骨盤底筋群)
支配神経下腹神経(交感)・骨盤内臓神経(副交感)陰部神経の枝=下直腸神経(S2〜S4)
随意性不随意随意
排便時の動き副交感神経の働きで反射的に弛緩意識的に弛緩させて排便、我慢する時は収縮
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