学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ31A071

理由で解く 柔道整復師

QJ31A071 解剖学

出典:第31回柔道整復師国家試験(2023)午前 問71
問題
脳脊髄液で満たされているのはどれか。
選択肢
1 硬膜外葉と硬膜内葉の間
2 硬膜内葉とクモ膜の間
3 クモ膜と軟膜の間
4 軟膜と脳実質の間
解答
正解3(クモ膜と軟膜の間)
解説

脳脊髄液が満たしているのはクモ膜下腔、すなわちクモ膜と軟膜の間です。したがって3が正解になります。

髄膜は外から硬膜・クモ膜・軟膜の3層で、それぞれの境界にできる「すきま」の中身が問われる定番の出題です。軟膜は脳・脊髄の表面に密着して溝の奥まで入り込みますが、クモ膜は溝をまたいで表面を袋のように覆うため、両者の間に広い空間ができます。ここがクモ膜下腔で、クモ膜小柱という細い線維が架け渡され、脳脊髄液と脳表の血管が走ります。脳の底面などクモ膜と軟膜の距離が大きい場所では、クモ膜下腔が特に広がって脳槽となります。脳脊髄液は脳室の脈絡叢で産生され、側脳室から室間孔、第三脳室、中脳水道、第四脳室を経て、正中口・外側口からクモ膜下腔に出て脳と脊髄の全周を循環し、最終的にクモ膜顆粒から上矢状静脈洞へ吸収されます。「脳脊髄液は脳室の中とクモ膜下腔にある」と産生から吸収までの流路で覚えると、他の腔と取り違えません。腰椎穿刺で髄液を採取するのも、脊髄下端より下のクモ膜下腔(終槽)です。

✓ 3. 正しい
クモ膜と軟膜の間
ここがクモ膜下腔です。クモ膜小柱が張り渡された空間を脳脊髄液が満たし、脳表の動静脈もこの中を走ります。脳が液体に浮かぶことで衝撃が緩和され、脳の実質的な重量が軽減されます。
✗ 1. 誤り
硬膜外葉と硬膜内葉の間
頭蓋腔では硬膜の外葉(頭蓋骨の内面の骨膜にあたる層)と内葉は通常密着しています。両者が離れる限られた場所が硬膜静脈洞で、そこを流れるのは脳脊髄液ではなく静脈血です。上矢状洞にクモ膜顆粒が突出し、髄液はここで静脈血へ吸収されると押さえておきましょう。
✗ 2. 誤り
硬膜内葉とクモ膜の間
ここは硬膜下腔と呼ばれますが、通常は硬膜内葉とクモ膜がほぼ接した潜在的なすきまで、脳脊髄液で満たされてはいません。外傷などで架橋静脈が破れて出血が入り込むと、はじめて空間として広がります(硬膜下血腫)。「硬膜下は普段は空間ではない」と覚えるのがコツです。
✗ 4. 誤り
軟膜と脳実質の間
軟膜は薄く血管に富む膜で、脳・脊髄の表面に直接密着し、溝や裂の中までぴったり入り込みます。そのため軟膜と脳実質の間に髄液をためる腔はできません。脳脊髄液が存在するのは、あくまで軟膜の外側(クモ膜下腔)と脳室内です。
ポイント
  • 髄膜は外から硬膜・クモ膜・軟膜。脳脊髄液があるのはクモ膜下腔(クモ膜と軟膜の間)と脳室内。
  • 硬膜外葉と内葉が離れる部位=硬膜静脈洞。中身は静脈血。
  • 硬膜下腔は通常は潜在的なすきま。硬膜下血腫が生じる場所。
  • 軟膜は脳表に密着し溝の奥まで入り込むため、脳実質との間に腔はない。
  • 髄液の流れ:脈絡叢で産生 → 側脳室 → 室間孔 → 第三脳室 → 中脳水道 → 第四脳室 → 正中口・外側口 → クモ膜下腔 → クモ膜顆粒から上矢状静脈洞へ吸収。
比較表
部位位置内容関連事項
硬膜静脈洞硬膜外葉と内葉の間静脈血上矢状洞にクモ膜顆粒が突出し髄液を吸収
硬膜外腔(脊髄)椎骨と脊髄硬膜の間脂肪組織・内椎骨静脈叢硬膜外麻酔を行う層
硬膜下腔硬膜内葉とクモ膜の間通常は潜在的なすきま硬膜下血腫(架橋静脈の破綻)
クモ膜下腔クモ膜と軟膜の間脳脊髄液・クモ膜小柱・脳表の血管脳槽をつくる/腰椎穿刺の到達腔
軟膜直下軟膜と脳実質の間腔をつくらない(軟膜は密着)髄液はここにはたまらない
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