学習トップ理由で解く 柔道整復師解剖学 ▸ §9 神経系 / QJ30A072

理由で解く 柔道整復師

QJ30A072 解剖学

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問72
問題
中脳の上丘レベルで脳神経核群をもつのはどれか。
選択肢
1 外転神経
2 滑車神経
3 顔面神経
4 動眼神経
解答
正解4(動眼神経)
解説

中脳の上丘の高さにあるのは動眼神経核と、それに付属する動眼神経副核(Edinger-Westphal核)である。正答は4。

脳神経核は脳幹に上から順に並んでおり、中脳上丘レベルが動眼神経(III)、中脳下丘レベルが滑車神経(IV)、橋が三叉神経(V)・外転神経(VI)・顔面神経(VII)、延髄が舌咽神経(IX)・迷走神経(X)・舌下神経(XII)の核をもつ。上丘は視覚性の定位・追跡反射の中枢で、視野に入った光や動く対象へ眼球と頭部を向ける反射に関わる部位であり、その腹側に眼球運動の主役である動眼神経核が置かれているのは機能の上でも理にかなう。ここで注意したいのは、対光反射の求心路を中継するのは上丘ではないという点である。対光反射は視索→視蓋前域(視蓋前核)→両側の動眼神経副核→動眼神経→毛様体神経節→瞳孔括約筋という経路をとる。上丘は視覚性の定位・追跡を担い、対光反射の中継は視蓋前域が担う、と役割を分けて覚えておきたい。動眼神経は中脳腹側の脚間窩から出るのに対し、滑車神経は下丘のすぐ下から脳幹の背面に出て途中で交叉する、脳神経で唯一の背側出口をもつ神経である。位置を問う設問は「中脳=III・IV/橋=V〜VIII/延髄=IX・X・XII(XIの脊髄根核は上位頸髄)」の3段構えで整理しておくと即答できる。

✓ 4. 正しい
動眼神経
上丘レベルの中脳水道周囲灰白質の腹側に動眼神経核があり、その背内側に副交感性の動眼神経副核が並ぶ。動眼神経核は上直筋・下直筋・内側直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋を、副核からの線維は毛様体神経節を経て瞳孔括約筋と毛様体筋を支配する。上丘レベルには対光反射の遠心路の起点(動眼神経副核)がある、と位置づけると記憶に残りやすい。
✗ 1. 誤り
外転神経
外転神経核は中脳ではなく橋下部にあり、第四脳室底の顔面神経丘の深部に位置する。支配は外側直筋のみ。核の高さを聞かれたら、まず「中脳か橋か延髄か」を答えてから細かい位置に進むとよい。
✗ 2. 誤り
滑車神経
滑車神経核は同じ中脳でも1段下の下丘レベルにある。上丘・下丘と III・IV は隣り合っていて紛らわしいので、「番号の若い方が上(上丘=III、下丘=IV)」と対にして覚える。支配は上斜筋のみで、線維は背側へ回って交叉してから下丘の下で脳幹を出る。
✗ 3. 誤り
顔面神経
顔面神経の運動核は橋下部の被蓋にあり、その軸索が外転神経核を後ろから回り込んで顔面神経膝をつくり、第四脳室底の顔面神経丘として盛り上がる。副交感の上唾液核、味覚の孤束核上部も橋〜延髄で、いずれも中脳ではない。橋下部には VI と VII が同居する、と一括で押さえたい。
ポイント
  • 中脳上丘レベル=動眼神経核+動眼神経副核、中脳下丘レベル=滑車神経核。「上はIII、下はIV」。
  • 動眼神経は中脳腹側の脚間窩から出る。滑車神経は下丘直下の背側から出て交叉する、唯一の背側出口の脳神経。
  • 外転神経核と顔面神経核はともに橋下部。顔面神経膝が外転神経核を巻いて顔面神経丘をつくる。
  • 対光反射の求心路は視索→視蓋前域(視蓋前核)→両側の動眼神経副核。遠心路は動眼神経副核→毛様体神経節→瞳孔括約筋・毛様体筋。上丘は視覚性の定位・追跡反射の中枢であって、対光反射の中継核ではない。
  • 高さの問題は「中脳=III・IV/橋=V〜VIII/延髄=IX・X・XII」の3段で整理する。副神経(XI)は例外で、脊髄根の起始核(副神経核)は上位頸髄(C1〜C5/6前角外側)にあり、延髄根は疑核に由来する。
比較表
高さ脳神経核脳幹を出る場所主な支配
中脳・上丘レベル動眼神経核/動眼神経副核腹側(脚間窩)上・下・内側直筋、下斜筋、上眼瞼挙筋/瞳孔括約筋、毛様体筋
中脳・下丘レベル滑車神経核背側(下丘の下・交叉後)上斜筋
橋(中位)三叉神経運動核・主知覚核橋の外側咀嚼筋/顔面の知覚
橋(下部)外転神経核・顔面神経核橋延髄移行部外側直筋/表情筋
延髄疑核・迷走神経背側核・舌下神経核など(副神経の延髄根は疑核由来)後外側溝・前外側溝咽喉頭筋、内臓、舌筋
上位頸髄(C1〜C5/6)副神経核(副神経の脊髄根の起始核)前根と後根の間から出て大後頭孔を上行胸鎖乳突筋、僧帽筋
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