学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §2 医療過誤とリスクマネジメント / QJ30A043

理由で解く 柔道整復師

QJ30A043 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問43
問題
医療訴訟で誤っているのはどれか。
選択肢
1 医療従事者の過失を問う。
2 刑事・民事及び行政責任を問う。
3 医療現場のヒヤリハットを問う。
4 医療経営者の使用者責任を問う。
解答
正解3(医療現場のヒヤリハットを問う。)
解説

設問は「誤っているもの」を選ばせる形式。医療訴訟は現実に生じた損害について責任を問う場であり、実害に至らなかったヒヤリハットは訴訟ではなく院内の安全管理で扱う。正答は3。

医療訴訟が成り立つには、注意義務違反(過失)、損害の発生、そして両者をつなぐ因果関係の三つがそろう必要がある。ヒヤリハット(インシデント)は「危うく事故になりかけたが患者に実害が及ばなかった事例」であり、損害が発生していないため賠償や刑事責任の対象にならない。ではヒヤリハットは無意味かというと逆で、報告を集めて分析し、同じ状況を作らない仕組みに変えることが事故予防の中心になる。責任追及の場と再発防止の場を分けておくからこそ、現場は正直に報告できる。この住み分けを理解しておくと、安全管理の設問全般に応用が利く。

✓ 3. これが誤り(=正解)
医療現場のヒヤリハットを問う。
ヒヤリハットは患者に損害が生じなかった事例であり、損害を前提とする訴訟の対象にはならない。扱うべき場はインシデントレポートによる院内報告と分析であり、原因を個人の不注意で終わらせず手順や環境の見直しにつなげることが求められる。報告しやすい雰囲気をつくることが、結果として訴訟の予防にもなる。
✗ 1. 正しい記述(=答えではない)
医療従事者の過失を問う。
医療訴訟の中心論点は、その場面で通常求められる注意義務を尽くしたかどうか、すなわち過失の有無である。柔道整復の場面では、骨折・脱臼を疑うべき所見があったのに医師へ紹介しなかった、といった判断が争点になりうる。設問の条件に当てはまらないので選ばない。
✗ 2. 正しい記述(=答えではない)
刑事・民事及び行政責任を問う。
医療事故では、業務上過失致死傷などの刑事責任、損害賠償という民事責任、免許の業務停止や取消といった行政責任の三つが、それぞれ別の手続きで問われうる。一つの事故で複数の責任が同時に生じる点が特徴である。設問の条件に当てはまらない。
✗ 4. 正しい記述(=答えではない)
医療経営者の使用者責任を問う。
被用者が業務の執行につき第三者に損害を与えた場合、使用者も賠償責任を負う(使用者責任)。勤務する柔道整復師の過失について開設者・管理者が責任を問われることがあるため、教育体制や記録の整備は経営側の課題でもある。設問の条件に当てはまらない。
ポイント
  • 訴訟が成り立つ要件は、過失・損害の発生・因果関係の三つ。
  • ヒヤリハット(インシデント)は損害が生じていない事例で、責任追及ではなく再発防止の材料。
  • 医療事故では刑事・民事・行政の三つの責任が並行して問われうる。
  • 使用者責任により、開設者・管理者も賠償責任を負うことがある。
  • 報告しやすい環境づくりと手順の見直しが、事故と訴訟の双方の予防になる。
比較表
区分問われる内容結果として生じるもの
刑事責任業務上過失致死傷など罰金・禁錮などの刑罰
民事責任不法行為・債務不履行による損害賠償賠償金の支払い(使用者責任を含む)
行政責任免許に対する監督戒告・業務停止・免許取消
ヒヤリハット実害に至らなかった事例の把握院内報告・分析・手順の改善(責任追及の場ではない)
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