学習トップ理由で解く 柔道整復師必修問題 ▸ §27 膝関節十字靱帯損傷の診察 / QJ30A029

理由で解く 柔道整復師

QJ30A029 必修問題

出典:第30回柔道整復師国家試験(2022)午前 問29
問題
急性期の前十字靱帯損傷の徒手検査で大腿骨に対する脛骨の偏位方向・はどれか。
選択肢
1 前方
2 後方
3 側方
4 回旋
解答
正解1(前方)
解説

前十字靱帯は脛骨が前方へずれるのを止めています。したがって徒手検査で確認するのは、大腿骨に対して脛骨が前方へ偏位することです。なお本問には図が添えられています。

前十字靱帯は大腿骨外側顆の内側面から脛骨顆間隆起の前方へ走り、脛骨の前方移動と過度の回旋を制動します。断裂すると脛骨が前方へ引き出せるようになり、前方引き出しテストやラックマンテストが陽性になります。急性期は疼痛と関節血腫、大腿後面筋の防御性収縮のために膝90度屈曲位をとりにくく、前方引き出しテストは行いにくいので、膝20〜30度屈曲位で大腿と下腿を把持して行うラックマンテストが有用です。いずれの方法でも確かめている偏位方向は同じで、大腿骨に対する脛骨の前方移動です。急性期は無理に反復せず、腫脹・可動域を記録して画像評価のため医師につなげます。

✓ 1. 正しい
前方
前十字靱帯は脛骨の前方移動を制動する靱帯です。破綻すると大腿骨に対して脛骨が前方へ引き出され、ラックマンテストや前方引き出しテストで前方への動揺と柔らかい終末感が確認されます。
✗ 2. 誤り
後方
後方への偏位は後十字靱帯損傷を示す所見です。後方引き出しテストや、膝屈曲位で脛骨粗面が落ち込むサギングサインで確認します。
✗ 3. 誤り
側方
側方への動揺は内側・外側側副靱帯の損傷を示す所見で、外反・内反ストレステストで評価します。
✗ 4. 誤り
回旋
前十字靱帯損傷では回旋不安定性も生じますが、それはピボットシフトテストなどで評価するものです。引き出し操作で確認する偏位方向としては前方が答えになります。
ポイント
  • 前十字靱帯=脛骨の前方移動を止める靱帯。破綻すれば脛骨が前方へ偏位する。
  • 急性期はラックマンテスト(膝20〜30度屈曲位)が行いやすい。前方引き出しテストは膝90度屈曲位。
  • 急性期に前方引き出しが行いにくい理由は、疼痛・関節血腫・ハムストリングの防御性収縮のため。
  • 後方偏位は後十字靱帯、側方動揺は側副靱帯、回旋不安定はピボットシフト系と整理する。
  • 急性期は反復せず、腫脹・可動域を記録して医師の画像評価につなげる。
比較表
検査膝の肢位操作確認する偏位
ラックマンテスト屈曲20〜30度大腿を固定し下腿近位を前方へ引く脛骨の前方偏位(急性期に有用)
前方引き出しテスト屈曲90度足部を固定し下腿近位を前方へ引く脛骨の前方偏位
後方引き出しテスト屈曲90度下腿近位を後方へ押す脛骨の後方偏位(後十字靱帯)
外反・内反ストレステスト屈曲約30度膝に外反・内反の力を加える側方動揺(側副靱帯)
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