学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §17 各論(骨折) 下肢 / QJ29P087

理由で解く 柔道整復師

QJ29P087 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問87
問題
大腿骨骨幹部骨折で誤っているのはどれか。
選択肢
1 高齢者に好発する。
2 高エネルギー損傷で発生する。
3 中央1/3部での骨折が多い。
4 ショックを起こすことがある。
解答
正解1(高齢者に好発する。)
解説

大腿骨骨幹部は太く強い骨で、折るには大きなエネルギーが必要。したがって青壮年の高エネルギー外傷が中心で、高齢者に好発するのは頸部・転子部骨折である。

大腿骨骨幹部は人体で最も太く長い管状骨で、周囲を厚い筋群が包んでいる。ここが折れるのは交通事故、高所からの転落、スポーツでの強い衝突など大きな外力が加わったときで、中央1/3が最も多い。骨髄腔が広く周囲の筋も豊富なため出血量は1000〜2000mLに達することがあり、多発外傷や両側骨折では出血性ショックに陥る。脂肪塞栓症候群も起こりうるため、局所の処置より全身状態の観察と搬送を優先する。

✓ 1. これが誤り(答え)
高齢者に好発する。
骨幹部を折るには大きなエネルギーが必要で、実際には青壮年の交通事故などで多い。高齢者が軽微な転倒で起こすのは大腿骨頸部骨折や転子部骨折であり、好発年齢が異なる。
✗ 2. 正しい(答えではない)
高エネルギー損傷で発生する。
交通事故、高所からの転落、スポーツでの強い衝突など大きな外力によって発生する。他部位の損傷を合併していないかも併せて確認する。
✗ 3. 正しい(答えではない)
中央1/3部での骨折が多い。
骨幹部のなかでも中央1/3に最も多い。転位の型は骨折の高さと働く筋によって変わる。
✗ 4. 正しい(答えではない)
ショックを起こすことがある。
骨髄腔が広く周囲の筋も豊富なため出血量が多く、1000〜2000mL程度に及ぶことがある。出血性ショックや脂肪塞栓症候群を念頭に全身状態を確認し、速やかに医療機関へつなぐ。
ポイント
  • 青壮年の高エネルギー外傷が中心。高齢者に多いのは頸部・転子部骨折
  • 好発部位は骨幹部の中央1/3
  • 出血量が多く(1000〜2000mL程度)、出血性ショック・脂肪塞栓症候群に注意
  • 上1/3の骨折では近位骨片が腸腰筋・中殿筋・外旋筋群により屈曲・外転・外旋する
  • 遠位1/3では腓腹筋が遠位骨片を後方へ引き、膝窩の血管・神経損傷に注意する
比較表
部位好発年齢・受傷機転特徴
頸部・転子部骨折高齢者、軽微な転倒骨粗鬆症が背景。頸部は関節包内で骨頭壊死・偽関節が問題
骨幹部骨折青壮年、高エネルギー外傷中央1/3に多い。出血量が多くショック・脂肪塞栓に注意
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