学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ29P079

理由で解く 柔道整復師

QJ29P079 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問79
問題
胸骨骨折で合併しないのはどれか。
選択肢
1 心挫傷
2 肩甲骨骨折
3 胸管損傷
4 肋骨骨折
解答
正解2(肩甲骨骨折)
解説

胸骨は縦隔の前壁で、その真後ろに心臓・大血管・気管・食道・胸管が並びます。胸骨骨折で警戒するのはこれら前胸部〜縦隔の損傷であり、胸郭の背側にある肩甲骨の骨折は挙がりません。したがって答えは2です。

胸骨骨折は、ハンドルやシートベルトによる前胸部への直達外力、あるいは脊柱の過屈曲による介達外力で生じます。前胸部に骨を折るほどの力が加われば同じ外力が肋骨にも及ぶため、肋骨骨折の併発は珍しくなく、多発すればフレイルチェスト(胸壁動揺)となって換気が破綻します。さらに骨折部のすぐ背側には心臓と大血管があり、心挫傷、心タンポナーデ、大動脈損傷、胸管の損傷(乳び胸)など、生命に直結する合併症を念頭に置く必要があります。縦隔の区分でいえば、心臓と心膜は中縦隔を占め、胸管は後縦隔を上行します。一方、肩甲骨は背側にあって厚い筋層に覆われ、前方からの外力が直接届く位置にありません。呼吸困難、頻脈、血圧低下、不整脈、皮下気腫、胸痛の増強などがあれば、施術は行わず安静・保温のうえ直ちに医療機関へつないでください。

✓ 2. 合併しない(これが答え)
肩甲骨骨折
肩甲骨は胸郭の背側で厚い筋に覆われており、前胸部への外力は直接届きません。胸骨骨折の合併症として学ぶ組合せではないため、これが設問の答えになります。
✗ 1. 合併しうる(答えではない)
心挫傷
心臓は心膜に包まれて中縦隔を占め、胸骨のすぐ後ろにあります。前胸部の直達外力がそのまま伝わるため、不整脈や心不全を招く心挫傷は胸骨骨折で最も警戒する合併症の一つです。
✗ 3. 合併しうる(答えではない)
胸管損傷
胸管は後縦隔を上行してリンパを運びます。強い胸部外傷では損傷しうるもので、乳び胸を起こします。
✗ 4. 合併しうる(答えではない)
肋骨骨折
胸骨を折る外力は隣接する肋骨にも及びます。多発肋骨骨折ではフレイルチェストとなり、奇異呼吸から換気不全に陥ります。
ポイント
  • 胸骨骨折の受傷機転は前胸部への直達外力(ハンドル外傷・シートベルト)と脊柱過屈曲による介達外力
  • 胸骨の真後ろにある縦隔臓器の損傷が最大の問題。心臓・心膜は中縦隔、胸管は後縦隔にある。心挫傷・心タンポナーデ・大血管損傷・胸管損傷(乳び胸)を疑う。
  • 同じ外力で肋骨骨折を伴いやすく、多発すればフレイルチェストとなる。
  • 肩甲骨は背側にあり、前方からの外力は届かない。肩甲骨骨折は背部への直達外力で起こる別の外傷。
  • 呼吸困難・頻脈・血圧低下・不整脈・皮下気腫があれば施術は行わず、安静を保って直ちに医療機関へ搬送する。
比較表
部位の関係胸骨骨折との関係
心挫傷胸骨のすぐ後ろ(心膜に包まれ中縦隔を占める)合併しうる/直達外力が直接伝わる
胸管損傷後縦隔を上行合併しうる/乳び胸をきたす
肋骨骨折胸骨と関節し前胸壁を構成合併しうる/同一外力で高頻度
肩甲骨骨折胸郭の背側・厚い筋層の下合併として挙げない/背部への直達外力で生じる
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