学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §15 各論(骨折) 頭部・体幹 / QJ29P078

理由で解く 柔道整復師

QJ29P078 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問78
問題
頸椎棘突起骨折で正しいのはどれか。
選択肢
1 転位は高度となる。
2 第7頸椎に好発する。
3 偽関節が生じやすい。
4 頸部の屈曲強制で発生する。
解答
正解2(第7頸椎に好発する。)
解説

頸椎棘突起骨折は第7頸椎に最も多く発生し、次いで第6頸椎・第1胸椎にみられる。棘突起が長く、頸胸移行部で牽引力が集中しやすいためである。

古くはシャベルで土を投げ上げる作業者に多発したことから「シャベル作業者骨折」とも呼ばれる。発生機序は、頭頸部が前屈する動きに抗して僧帽筋・菱形筋などの背部筋が急激に収縮し、棘上靱帯・項靱帯を介して棘突起を引きはがす裂離骨折である。ほかに後頸部への直達外力でも生じる。つまり骨を折っているのは「頸部を屈曲させる外力」そのものではなく、それに抗して働く筋の牽引力である、という主従関係が本症の理解の要になる。第7頸椎は隆椎として棘突起が長く体表から触知でき、可動性の大きい頸椎と可動性の小さい胸椎の境目にあたるため、この牽引力が集中する。骨片は棘上靱帯・項靱帯につながれたままなので大きくは離れず、症状は局所の疼痛・圧痛、頸部運動時痛が中心で、脊髄症状を伴わないことが多い。局所の安静と頸部の固定で経過をみるのが基本となる。

✓ 2. 正しい
第7頸椎に好発する。
第7頸椎は棘突起が最も長く、頸胸移行部で背部筋の牽引力が集中する。次いで第6頸椎、第1胸椎に多い。体表から棘突起を触れやすいため、限局した圧痛の確認がしやすい部位でもある。
✗ 1. 誤り
転位は高度となる。
骨片は棘上靱帯・項靱帯につながれているため、大きく離れることはなく転位は軽度にとどまる。触診で著明な段差や陥凹を触れることは少ない。
✗ 3. 誤り
偽関節が生じやすい。
転位が小さく安静も保ちやすいため骨癒合は一般に良好で、「偽関節が生じやすい」とはいえない。線維性の癒合になった場合でも機能障害を残すことはまれである。
✗ 4. 誤り
頸部の屈曲強制で発生する。
本骨折の機序は、頭頸部が前屈する動きに抗して僧帽筋・菱形筋が急激に収縮し、棘上靱帯・項靱帯を介して棘突起が引きはがされる裂離骨折であり(このほかに後頸部への直達外力)、骨を折っているのは筋の牽引力である。「頸部の屈曲強制」という受動的な外力そのものを発生機序とする記載はなく、誤りである。なお頸部の屈曲強制で生じるのは棘間靱帯・棘上靱帯の損傷(頸部過屈曲損傷)や椎体の圧迫骨折であり、棘突起骨折とは区別して覚える。
ポイント
  • 好発は第7頸椎(隆椎)、次いで第6頸椎・第1胸椎。別名シャベル作業者骨折。
  • 機序は前屈に抗する僧帽筋・菱形筋の急激な収縮による裂離骨折(+後頸部への直達外力)。屈曲強制そのものは機序ではない。
  • 骨片は棘上靱帯・項靱帯につながれているため転位は軽度。
  • 骨癒合は良好で、脊髄症状を伴わないことが多い。局所安静と頸部固定が基本。
  • 棘突起は体表から触れるので、限局した圧痛と頸部運動時痛が診るポイント。
  • 屈曲強制で生じるのは棘間・棘上靱帯損傷や椎体圧迫骨折。棘突起骨折と混同しない。
比較表
論点(選択肢)選択肢が述べる内容頸椎棘突起骨折の実際正誤
好発部位(2)第7頸椎に好発する第7頸椎が最多。次いで第6頸椎・第1胸椎
転位(1)転位は高度となる棘上靱帯・項靱帯につながれているため転位は軽度×
骨癒合(3)偽関節が生じやすい転位が小さく安静も保ちやすいため骨癒合は良好×
発生機序(4)頸部の屈曲強制で発生する前屈に抗する背部筋の急激な収縮による裂離骨折(+直達外力)×
項目頸椎棘突起骨折(シャベル作業者骨折)頸部過屈曲損傷(棘間・棘上靱帯損傷)
働く外力前屈に抗する背部筋の急激な収縮(牽引)。直達外力でも生じる頸部を前方へ屈曲させる外力そのもの
損傷される組織棘突起(骨)。第7頸椎に好発棘間靱帯・棘上靱帯・項靱帯
主な所見棘突起部の限局した圧痛、頸部運動時痛棘突起間の圧痛・開大、頸椎の不安定性
経過骨癒合良好。脊髄症状を伴わないことが多い損傷の程度により不安定性を残すことがある
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