学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §7 総論 脱臼 / QJ29P077

理由で解く 柔道整復師

QJ29P077 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問77
問題
骨折合併例の脱臼で変形性関節症が起こりにくいのはどれか。
選択肢
1 肩関節
2 肘関節
3 指関節
4 股関節
解答
正解1(肩関節)
解説

肩関節は体重を支えない関節で、もともと関節面の適合性に頼らない構造をもつ。そのため骨折を伴う脱臼のあとでも変形性関節症へ進みにくい。

変形性関節症は、関節軟骨に繰り返し過大な力がかかることで進行する。脱臼骨折で関節面に段差が残ると、その部分に応力が集中して軟骨がすり減る。ところが肩関節は上肢を空間で動かす非荷重関節で、浅い関節窩と広い可動域を特徴とするため、多少の不整があっても軟骨への負担は限られる。逆に股関節のような荷重関節では体重の数倍の力が繰り返し加わり、わずかな段差でも変形性関節症へ進みやすい。

✓ 1. 起こりにくい(答え)
肩関節
非荷重関節であり、浅い関節窩と大きな可動域という適合性に依存しない構造をもつ。関節面に不整が残っても応力集中が起こりにくい。ただし可動域制限や再脱臼といった別の後遺障害には注意する。
✗ 2. 起こりやすい(答えではない)
肘関節
蝶番関節として関節面の適合が運動の軌道を決めるため、滑車や鉤状突起・橈骨頭の骨折で面が不整になると軌道が乱れ、変形性肘関節症や拘縮、骨化性筋炎を残しやすい。
✗ 3. 起こりやすい(答えではない)
指関節
関節面が小さいため、わずかな段差でも軟骨にかかる圧が大きくなる。日常的に何度も屈伸する部位で、関節内骨折を伴うと変形と可動域制限が残りやすい。
✗ 4. 起こりやすい(答えではない)
股関節
体重の数倍の荷重が繰り返しかかる代表的な荷重関節。臼蓋骨折や骨頭骨折を伴うと関節面の不整に加え骨頭の阻血性壊死も重なり、変形性股関節症へ進行しやすい。
ポイント
  • 変形性関節症のリスクは「荷重関節か」「関節面の不整が残るか」で決まる
  • 肩関節は非荷重で適合性に依存しない構造のため進行しにくい
  • 股関節は荷重関節。臼蓋・骨頭骨折の合併で変形性股関節症と骨頭壊死が問題
  • 肘関節・指関節では拘縮や可動域制限が主な後遺障害
  • 関節内骨折の整復では、関節面の段差を残さないことを最優先する
比較表
関節荷重骨折合併脱臼後の主な問題
肩関節非荷重可動域制限・再脱臼。変形性関節症は少ない
肘関節非荷重だが適合性が軌道を決める拘縮、骨化性筋炎、変形性肘関節症
指関節非荷重、関節面が小さい段差が残ると変形・可動域制限
股関節荷重(体重の数倍)変形性股関節症、骨頭の阻血性壊死
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