学習トップ理由で解く 柔道整復師柔道整復理論 ▸ §20 各論(脱臼) 下肢 / QJ29P071

理由で解く 柔道整復師

QJ29P071 柔道整復理論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問71
問題
自然整復されやすいのはどれか。
選択肢
1 肘関節後方脱臼
2 膝蓋骨外側脱臼
3 橈骨頭単独脱臼
4 足関節外側脱臼
解答
正解2(膝蓋骨外側脱臼)
解説

膝蓋骨脱臼(外側脱臼)は、膝を伸展させると大腿四頭筋腱と膝蓋腱の張力で滑車溝へ戻るため、自然に整復されることが多い。

自然整復が起こるかどうかは、①脱臼した骨を元の位置へ戻す方向の力が働くか、②骨性の噛み合いや断裂した軟部組織が抵抗にならないか、で決まる。膝蓋骨は大腿四頭筋腱と膝蓋腱の間にはさまれた種子骨で、膝屈曲位で外側へ外れても、膝を伸ばすと上下の腱が縦方向に強く引くため大腿骨滑車溝へ滑り戻る。受傷者が自分で膝を伸ばした瞬間や、介助者が下腿を伸展させただけで整復されることが多く、来所時にはすでに整復済みで腫脹と圧痛のみを認めることもある。この場合でも内側膝蓋支帯損傷や骨軟骨損傷、再脱臼の可能性を念頭に置き、膝伸展位での固定と経過観察を行う。他の3つは骨性の噛み合いや断裂端が抵抗となり、弾発性固定が続くため自然整復は期待できない。

✓ 2. 該当する(設問の答え)
膝蓋骨外側脱臼
膝蓋骨は上下を腱にはさまれた種子骨で、骨同士が深く噛み合っていない。膝を伸展すると腱の張力が縦方向に働き、膝蓋骨は滑車溝へ戻る。自然整復されやすい代表例である。
✗ 1. 該当しない
肘関節後方脱臼
尺骨の鉤状突起が上腕骨滑車の後方に乗り上げて噛み合い、軽度屈曲位で弾発性固定となる。牽引と屈曲を組み合わせた整復操作が必要で、自然に戻ることはまずない。
✗ 3. 該当しない
橈骨頭単独脱臼
輪状靱帯が断裂または橈骨頭が輪状靱帯を乗り越えた状態で固定される。前腕の回内外が制限され、自然整復は期待できない。小児の肘内障(亜脱臼)とは別に扱う。
✗ 4. 該当しない
足関節外側脱臼
強い外力で生じ、多くは腓骨や脛骨の骨折を伴う。距骨が脱臼位で固定され、皮膚の緊張や血行障害を伴うこともある。自然整復はされず、速やかな医師への引き継ぎが必要となる。
ポイント
  • 自然整復されやすい=元へ戻す力が働き、骨性の噛み合いが浅い脱臼。代表は膝蓋骨脱臼。
  • 膝蓋骨は種子骨で、膝伸展時の大腿四頭筋腱・膝蓋腱の張力が整復方向に働く。
  • 来所時に整復済みでも、内側膝蓋支帯損傷や骨軟骨損傷、再脱臼を念頭に評価する。
  • 肘関節後方脱臼・橈骨頭脱臼・足関節脱臼はいずれも弾発性固定が続き、自然整復されない。
比較表
脱臼自然整復理由
膝蓋骨外側脱臼されやすい種子骨で噛み合いが浅く、膝伸展時の腱の張力が整復方向に働く
肘関節後方脱臼されにくい鉤状突起が滑車後方に乗り上げて噛み合い、弾発性固定となる
橈骨頭単独脱臼されにくい輪状靱帯の断裂・乗り越えで橈骨頭が固定される
足関節外側脱臼されにくい強大な外力で骨折を伴うことが多く、距骨が脱臼位で固定される
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