学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §4 腫瘍 / QJ29P047

理由で解く 柔道整復師

QJ29P047 外科学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問47
問題
悪性腫瘍の病期分類を構成する因子で誤っているのはどれか。
選択肢
1 癌性疼痛の有無
2 遠隔転移の有無
3 原発腫瘍の広がり
4 所属リンパ節転移の有無
解答
正解1(癌性疼痛の有無)
解説

悪性腫瘍の病期(ステージ)は、TNM分類、すなわち T(原発腫瘍の広がり)・N(所属リンパ節転移)・M(遠隔転移)の3因子の組合せで決まります。癌性疼痛は患者の症状であって、病期を構成する因子ではありません。

TNM分類のねらいは、「腫瘍がどこまで広がっているか」を客観的・再現的に記述して、治療方針の決定と予後の推定、施設間の比較を可能にすることです。T は原発巣の大きさや壁深達度・周囲臓器への浸潤、N は所属リンパ節への転移の有無や個数・範囲、M は他臓器への遠隔転移の有無を表します。この3つを組み合わせて Stage 0〜IV が決まり、遠隔転移(M1)があれば原則として最も進行した病期に分類されます。一方、痛みや全身状態は病期とは別枠で扱われ、日常生活の自立度は Performance Status(PS)で、痛みは緩和ケアの評価軸で管理します。症状の強さと腫瘍の広がりは必ずしも一致せず、進行癌でも無症状のことがあり、早期癌でも痛みが強いことがある——ここが本問の核心です。

✓ 1. これが答え
癌性疼痛の有無
癌性疼痛は病期分類の構成因子ではありません。痛みは腫瘍が神経や骨、被膜を巻き込んだときに強く出る一方、進行していても無症状のことがあり、腫瘍の広がりを客観的に表す指標にはなりません。疼痛は病期とは切り離し、痛みの性質と強さを評価したうえで、鎮痛薬の段階的な使用を含む緩和ケアの中で扱います。
✗ 2. 答えではない
遠隔転移の有無
これは TNM の M にあたる、病期分類の正規の構成因子です。原発巣から離れた臓器(肝・肺・骨・脳など)への転移があるか(M1)ないか(M0)で示され、M1 であれば局所治療だけでは制御できないため、原則として最も進行した病期に分類され、全身治療が中心になります。
✗ 3. 答えではない
原発腫瘍の広がり
これは TNM の T にあたる構成因子です。腫瘍の大きさ、管腔臓器では壁のどの層まで達しているか(深達度)、周囲臓器へ直接浸潤しているかで T1〜T4 に段階づけられます。切除できるかどうかを左右する、最も基本的な指標です。
✗ 4. 答えではない
所属リンパ節転移の有無
これは TNM の N にあたる構成因子です。原発巣のリンパ流を受ける所属リンパ節への転移の有無、その個数や範囲で N0〜N3 などに段階づけられます。手術のリンパ節郭清範囲や術後補助療法の適応を判断する根拠になります。
ポイント
  • 病期分類の構成因子は TNM の3つだけ——T:原発腫瘍の広がり、N:所属リンパ節転移、M:遠隔転移。
  • T は大きさ・深達度・周囲浸潤、N は所属リンパ節転移の有無と個数・範囲、M は遠隔転移の有無を表す。
  • T・N・M の組合せで Stage 0〜IV が決まり、M1 なら原則として最も進行した病期になる。
  • 癌性疼痛は症状であり病期の因子ではない。痛みは緩和ケアの評価軸、全身状態は Performance Status(PS)で別に評価する。
  • 症状の強さと腫瘍の広がりは一致しない。無症状の進行癌も、痛みの強い早期癌もある。
比較表
記号意味評価する内容病期分類の因子
T原発腫瘍大きさ・壁深達度・周囲臓器への浸潤
N所属リンパ節転移の有無・個数・範囲
M遠隔転移他臓器転移の有無(M0/M1)
癌性疼痛症状。緩和ケアで評価・管理×
全身状態Performance Status(PS)で評価×
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。