学習トップ理由で解く 柔道整復師外科学概論 ▸ §5 ショック / QJ29P048

理由で解く 柔道整復師

QJ29P048 外科学概論

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問48
問題
ショックの原因と病態の組合せで正しいのはどれか。
選択肢
1 緊張性気胸-閉塞性
2 アナフィラキシー-心原性
3 敗血症循環血液量減少性
4 重度下痢-血液分布異常性
解答
正解1(緊張性気胸-閉塞性)
解説

ショックは「なぜ組織に血液が届かないのか」という原因の場所で4つに分類します。緊張性気胸は、心臓に戻る血流が胸腔内の圧で物理的にせき止められるため、閉塞性ショックに分類されます。

ショックとは全身の組織が必要とする酸素を供給できない状態で、原因別に、循環血液量減少性(血液そのものが足りない)、心原性(ポンプが動かない)、閉塞性(ポンプの外側で血流がせき止められる)、血液分布異常性(血管が広がって血液が末梢に滞る)の4つに分けられます。緊張性気胸では、胸膜の損傷部が一方弁のようにはたらいて胸腔内に空気がたまり続け、胸腔内圧が上昇して縦隔が健側へ押しやられます。その結果、上・下大静脈が圧迫・屈曲して心臓への静脈還流が減り、心拍出量が急落します。心臓自体は正常に動けるのに戻ってくる血液がない、という点が閉塞性ショックの本質で、同じ仲間に心タンポナーデや広範な肺血栓塞栓症があります。分類が分かれば治療の方向も決まり、閉塞性なら輸液や昇圧薬より「閉塞の解除」(脱気やドレナージ)が最優先になります。なお本問の選択肢は、「原因」と「病態」をつなぐダッシュ記号が原本のテキストで崩れており、区切りが読み取りにくくなっています。以下では各選択肢の解説の冒頭で、本来の組合せを補って示します。

✓ 1. 正しい
緊張性気胸-閉塞性
この選択肢は「緊張性気胸-閉塞性」という組合せです(原本の表記が崩れています)。胸腔内圧の上昇が縦隔偏位と大静脈の圧迫を招き、心臓への静脈還流が物理的に妨げられて心拍出量が低下します。ポンプの外側で血流がせき止められる典型例で、閉塞性ショックの組合せとして正しい記述です。頸静脈怒張、患側の呼吸音減弱、気管の健側偏位を認めたら、画像を待たずに緊急脱気に進みます。
✗ 2. 誤り
アナフィラキシー-心原性
この選択肢は「アナフィラキシー-心原性」という組合せですが、アナフィラキシーは血液分布異常性ショックです。I型アレルギー反応でヒスタミンなどの化学伝達物質が放出され、全身の細動脈が拡張して血管透過性が亢進します。血液量もポンプ機能も保たれているのに、血管床が急に広がるため相対的に血液が足りなくなる、という機序です。喉頭浮腫や気管支攣縮を伴うため、アドレナリンの筋肉内注射と気道確保を最優先で行います。
✗ 3. 誤り
敗血症循環血液量減少性
この選択肢は「敗血症-循環血液量減少性」という組合せです(原本の表記が崩れ、区切りのない一語のように見えています)。しかし敗血症性ショックは血液分布異常性に分類されるため誤りです。感染に対する制御不能な生体反応でサイトカインや一酸化窒素が過剰に産生され、末梢血管が拡張して血管透過性が亢進し、血液が末梢に滞ります。初期は末梢が温かいこと(ウォームショック)がある点も、皮膚が冷たく湿潤する循環血液量減少性との違いです。対応は感染源の制御と抗菌薬、十分な初期輸液、必要に応じた血管収縮薬になります。
✗ 4. 誤り
重度下痢-血液分布異常性
この選択肢は「重度下痢-血液分布異常性」という組合せです(原本の表記が崩れています)。しかし重度の下痢は体液が大量に失われる状態なので、正しくは循環血液量減少性ショックです。循環血液量減少性は、出血によるもの(出血性ショック)と、下痢・嘔吐・広範囲熱傷・大量発汗のように血液以外の体液を失うもの(体液喪失性)に分けられますが、いずれも「入れ物の中身が足りない」点は共通です。皮膚は冷たく湿り、頻脈と尿量減少を伴います。対応は速やかな輸液・輸血による循環血液量の補充です。
ポイント
  • ショックは4分類。循環血液量減少性(中身が足りない)/心原性(ポンプが動かない)/閉塞性(ポンプの外でせき止められる)/血液分布異常性(入れ物が広がりすぎた)。
  • 閉塞性ショックの代表は、緊張性気胸・心タンポナーデ・肺血栓塞栓症の3つ。治療は昇圧より「閉塞の解除」が最優先。
  • アナフィラキシー・敗血症・神経原性は、いずれも血管拡張が本態なので血液分布異常性にまとまる。
  • 下痢・嘔吐・熱傷・出血は体液や血液そのものが失われるので循環血液量減少性。
  • 緊張性気胸のサインは、頸静脈怒張・患側呼吸音減弱・気管の健側偏位・皮下気腫。画像を待たずに脱気へ動く。
比較表
分類本態代表的な原因皮膚所見の傾向治療の方向
循環血液量減少性血液・体液そのものが不足出血、重度下痢・嘔吐、広範囲熱傷冷たく湿潤、蒼白輸液・輸血で補充、出血源の止血
心原性ポンプ機能の低下心筋梗塞、重症不整脈、弁膜症冷たく湿潤心機能の補助、原因心疾患の治療
閉塞性心臓の外側で血流が妨げられる緊張性気胸、心タンポナーデ、肺血栓塞栓症冷たく湿潤、頸静脈怒張閉塞の解除(脱気・ドレナージ・心嚢穿刺)
血液分布異常性血管拡張で血液が末梢に滞るアナフィラキシー、敗血症、脊髄損傷(神経原性)初期は温かいことがある血管収縮薬、原因への対応(アドレナリン・抗菌薬など)
この問題の解説の修正を依頼する

解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。