学習トップ / 理由で解く 柔道整復師 / 一般臨床医学 ▸ §21 臨床実地問題 / QJ29P045
理由で解く 柔道整復師
排尿時痛という下部尿路症状が先行し、そこへ悪寒を伴う 39.4°C の発熱と右肋骨脊柱角(CVA)の叩打痛が加わっています。膀胱から腎盂・腎実質へ感染が上行した急性腎盂腎炎の典型像です。
女性は尿道が短く外尿道口が肛門に近いため、腸内細菌が上行して尿路感染を起こしやすく、起炎菌は大腸菌が最も多くなります。感染が膀胱にとどまる急性膀胱炎では、排尿時痛・頻尿・残尿感は出ても、原則として高熱は出ません。ここに悪寒戦慄を伴う 38℃以上の発熱、血液中の白血球増多と CRP 高値という全身性の炎症反応が加わったら、腎実質まで炎症が及んだ=上部尿路感染と読み替えます。CVA(第 12 肋骨と脊柱がつくる角)の叩打痛は、炎症で腫大した腎の被膜が伸展されていることを示す所見で、片側性に出るのが特徴です。尿の混濁と鏡検での多数の白血球(膿尿)は、感染の場が尿路であることを裏づけます。「3 日前の排尿時痛 → 発熱」という時間経過そのものが、上行性感染の道筋を語っています。急性腎盂腎炎は抗菌薬による治療が必要な病態なので、施術所でこうした所見に出会ったら施術は行わず、その日のうちに医療機関を受診するよう伝えます。
| 疾患 | 主な痛みの部位 | 発熱 | 尿所見 | 決め手になる所見 |
|---|---|---|---|---|
| 急性膀胱炎 | 下腹部・排尿時痛 | なし〜微熱 | 膿尿・細菌尿 | 全身症状に乏しい |
| 急性腎盂腎炎(本症例) | 側腹部・腰背部(患側 CVA) | 38〜40℃、悪寒戦慄 | 膿尿・細菌尿・白血球円柱 | 膀胱刺激症状の先行+片側 CVA 叩打痛 |
| 急性虫垂炎 | 心窩部 → 右下腹部へ移動 | 微熱〜38℃ | 通常は正常 | McBurney 点の圧痛、反跳痛、筋性防御 |
| 急性胆嚢炎 | 右季肋部 | 38℃前後 | 正常 | Murphy 徴候、脂肪食後の増悪 |
| 慢性糸球体腎炎 | 痛みは原則なし | なし | 血尿・蛋白尿(膿尿なし) | 健診で見つかる無症候性の尿異常 |
解説に誤り・改善点があればお知らせください。件名と本文は自動入力済みです(編集できます)。お名前・メールアドレスは任意です。送信内容は玄康株式会社(黒澤一弘)に届きます。