学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §15 主要な疾患 血液疾患 / QJ29P037

理由で解く 柔道整復師

QJ29P037 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問37
問題
血友病で正しいのはどれか。
選択肢
1 血小板が減少する。
2 女性に発症することが多い。
3 重症例では関節内出血を起こす。
4 ヘリコバクター・ピロリ菌感染が発症に関与する。
解答
正解3(重症例では関節内出血を起こす。)
解説

血友病は凝固因子(第Ⅷ因子または第Ⅸ因子)の欠乏による凝固異常症で、関節内出血・筋肉内出血といった深部出血を特徴とする。重症例では関節内出血を繰り返すため3が正しい。

止血は「血小板が傷口に栓をする一次止血」と「凝固因子がフィブリンで固める二次止血」の二段階からなる。血友病では二次止血が障害されるので、一次止血で一度は止まったように見えても、その後に深部でじわじわと出血が続く。この性質が、粘膜からの点状出血や紫斑が主体となる血小板の異常(一次止血の障害)との決定的な違いであり、血友病では関節内出血(膝・肘・足関節に多い)や筋肉内出血(腸腰筋など)が起こる。関節内出血を繰り返すと滑膜炎から軟骨破壊へ進み、可動域制限や変形を残す血友病性関節症となるため、早期の凝固因子製剤による補充が要となる。検査ではAPTT延長、PT正常、血小板数正常、出血時間正常という組合せを示す。柔道整復の現場では、関節の腫脹を単なる捻挫と判断せず、出血傾向の既往を医療面接で確認し、疑わしければ強い徒手操作を控えて主治医と連携する姿勢が求められる。

✓ 3. 正しい
重症例では関節内出血を起こす。
凝固因子欠乏により二次止血が障害されるため、膝・肘・足関節などの関節内出血や腸腰筋などの筋肉内出血といった深部出血をきたす。反復すると滑膜炎と軟骨破壊が進み、血友病性関節症として可動域制限や変形を残す。
✗ 1. 誤り
血小板が減少する。
血友病で欠乏するのは凝固因子であり、血小板数・出血時間は正常である。検査所見はAPTT延長・PT正常が典型で、血小板が減少するのは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や再生不良性貧血などである。
✗ 2. 誤り
女性に発症することが多い。
血友病はX連鎖潜性(伴性劣性)遺伝で、X染色体を1本しか持たない男性に発症する。女性はX染色体が2本あるため多くは保因者にとどまり、発症は極めてまれである。したがって男性に発症するのが原則である。
✗ 4. 誤り
ヘリコバクター・ピロリ菌感染が発症に関与する。
ヘリコバクター・ピロリ感染が発症に関与し、除菌により血小板数の回復が期待できるのは特発性血小板減少性紫斑病(ITP)である。血友病は遺伝性の凝固因子欠乏症であり、細菌感染は原因とならない。
ポイント
  • 血友病A=第Ⅷ因子欠乏、血友病B=第Ⅸ因子欠乏。ともにX連鎖潜性遺伝で男性に発症する。
  • 二次止血の障害なので、深部出血(関節内出血・筋肉内出血)が特徴。点状出血・紫斑主体の血小板異常と区別する。
  • 検査:APTT延長、PT正常、血小板数正常、出血時間正常。
  • 関節内出血の反復は血友病性関節症(可動域制限・変形)を招く。早期の凝固因子補充が重要。
  • ヘリコバクター・ピロリ除菌が有効なのはITP。血友病とは別の病態。
比較表
項目血友病(凝固異常)ITP(血小板減少)
障害される止血二次止血(凝固因子)一次止血(血小板)
出血の型関節内・筋肉内などの深部出血点状出血、紫斑、鼻出血、歯肉出血
血小板数正常減少
APTT/PTAPTT延長・PT正常ともに正常
好発男性(X連鎖潜性遺伝)若年女性・高齢者に多い
ピロリ菌の関与なしあり(除菌が奏効する例)
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