学習トップ理由で解く 柔道整復師一般臨床医学 ▸ §17 主要な疾患 膠原病 / QJ29P038

理由で解く 柔道整復師

QJ29P038 一般臨床医学

出典:第29回柔道整復師国家試験(2021)午後 問38
問題
関節リウマチの骨エックス線写真でみられる所見はどれか。
選択肢
1 骨棘
2 骨硬化
3 骨びらん
4 骨抜き打ち像
解答
正解3(骨びらん)
解説

関節リウマチでは増殖した滑膜(パンヌス)が軟骨と骨を内側から食い破るため、エックス線像では関節辺縁の骨びらん(erosion)がみられる。骨をつくる方向の変化である骨棘や骨硬化は変形性関節症の所見である。

関節リウマチは滑膜を主座とする自己免疫性の慢性炎症性疾患で、炎症で増殖した滑膜組織(パンヌス)が関節軟骨と軟骨下骨を破壊していく。この「壊す」病態を反映して、エックス線所見は時間経過とともに、軟部組織の腫脹 → 傍関節性の骨萎縮(骨粗鬆) → 関節裂隙の狭小化 → 骨びらん → 高度な破壊による関節の亜脱臼・変形・強直、という順で進む。一方、変形性関節症は軟骨の摩耗に対して骨が反応性に増殖する疾患なので、骨棘形成・軟骨下骨硬化・骨嚢胞という「つくる」方向の所見が並び、両者は正反対の像を示す。手指ではリウマチが近位指節間関節と中手指節関節を左右対称に侵し、変形性関節症が遠位指節間関節(ヘバーデン結節)に出るという分布の違いも合わせて覚えたい。朝のこわばりが1時間以上続き、複数の関節が左右対称に腫れている患者に出会ったら、施術を継続する前にリウマチを念頭に医療機関の受診を勧める。

✓ 3. 正しい
骨びらん
増殖した滑膜(パンヌス)が関節辺縁の骨を破壊するため、皮質骨が虫食い状に欠損した骨びらんが生じる。関節裂隙の狭小化や傍関節性骨萎縮とともに、関節リウマチの進行を示す代表的なエックス線所見である。
✗ 1. 誤り
骨棘
骨棘は軟骨の摩耗と力学的負荷に対して関節辺縁の骨が反応性に増殖してできる突起で、変形性関節症に特徴的な所見である。骨を破壊する関節リウマチとは変化の方向が逆になる。
✗ 2. 誤り
骨硬化
軟骨下骨の硬化像は、軟骨が失われて荷重が直接かかるようになった骨が緻密化したもので、変形性関節症の所見である。関節リウマチではむしろ炎症により傍関節性の骨萎縮(骨粗鬆化)が起こる。
✗ 4. 誤り
骨抜き打ち像
打ち抜き像(punched-out lesion)は、腫瘍細胞が破骨細胞を活性化して境界明瞭な溶骨性病変をつくる多発性骨髄腫の所見で、頭蓋骨単純撮影で典型的にみられる。関節リウマチの所見ではない。
ポイント
  • 関節リウマチは滑膜(パンヌス)が骨・軟骨を「壊す」病態。骨びらん・関節裂隙狭小化・傍関節性骨萎縮が並ぶ。
  • 変形性関節症は骨が反応性に「つくる」病態。骨棘・軟骨下骨硬化・骨嚢胞が並ぶ。
  • RAのエックス線経過:軟部組織腫脹 → 骨萎縮 → 裂隙狭小化 → 骨びらん → 変形・強直。
  • 骨の打ち抜き像(punched-out lesion)は多発性骨髄腫。頭蓋骨で典型的。
  • 手指の分布:RAはPIP・MCPで左右対称、OAはDIP(ヘバーデン結節)。
比較表
項目関節リウマチ変形性関節症
病態滑膜炎(パンヌス)による骨・軟骨の破壊軟骨摩耗に対する骨の反応性増殖
エックス線所見骨びらん、関節裂隙狭小化、傍関節性骨萎縮骨棘、軟骨下骨硬化、骨嚢胞、裂隙狭小化
好発関節(手指)PIP・MCP関節、左右対称DIP関節(ヘバーデン結節)
朝のこわばり1時間以上続く短時間(30分未満)で軽快
全身症状あり(微熱・倦怠感)なし
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